出世の足掛かりにと、上役の情事のためにせっせと自分のアパートを貸している会社員バド(レモン)。だが、人事部長のシェルドレイク(マクマレイ)が連れ込んで来たエレベーターガールのフラン(マクレーン)は、バドの意中の人だった……。
まさに名作です。白黒の映画ですが、ジャック・レモンの魅力がたっぷりと出ています。センスがいいし、ラケットでスパゲッティやおしゃれな帽子などいろんなところでアクセントが利いていて見ていて楽しい。やはり僕としては睡眠薬を飲んだフランを助けるシーンが好きですね。あわてながらも隣人の助けを借りて介抱し、コーヒーを入れたりと世話を尽くして決まり文句で部長の所に行ったのに・・・、なんか見ていて笑える。 これぞコメディー作品ですね。
ビリー・ワイルダー監督の『お熱いのがお好き』『アパートの鍵貸します』『昼下がりの情事』の3作を 伏線映像手法、特に伏線の張り方の完全分析。 僕は、舞台や映画やドラマなどのお芝居で役者がやる演技の 「つい〇〇する」の「つい」には必ず理由があるのだと仕込まれたが、 ワイルダー監督のそれにもすべて意味がある。 しかしずさんなところもあるわけで、それはすべてを丁寧に描いていたら 説明的で見ていられないコメディになるからだ。
それからこの本ではそう重点が置かれていないが、コメディを成功させるのは 人物設定、つまり登場人物のキャラクター設定である。 マリリン・モンローはバカでいなくてはならないし、ジャック・レモンはスケコマシの ギャンブル狂でなければならない。
ジャックレモン、シャーリーマックレーンの演技は素晴らしい。サラリーマンの悲哀と主人公の最後の決断は日本人にも共感を呼ぶと思います。
コメディに傑作は数多くあれど、この作品のように、哀愁漂うコメディなんてそうはない。 鏡、シャンパン、テニスラケットなど、小道具の使い方も冴えに冴える。 そしてラスト5分! 100回観てもまだ観たい、至福の5分間。
自分の上司と不倫しているエレベーターガールに恋をした、しがないサラリーマンの切なさと葛藤に、見ているこちらも何だかホロリ・・。コンパクトミラーや、テニスラケット、シャンパンなどの小道具の使い方の巧みさにも唸らされるばかり。もちろんラストシーンは最初から予想できるけれど、それでも最後の彼の英断には胸が熱くなります。 そして、彼のもとに駈けるシャーリー・マックレーンの表情の初々しいキュートさ! いつの時代でも、愛する男性のもとに走る女性の顔って素敵なのだなあ、なんて感心しつつ、ラストのマクレーンの台詞もさりげなく洒落ていて胸に沁みます。(余談ですが、最後のセリフが洒落ている映画では、最近では「ノッティングヒルの恋人」もかなりいい線いってる!) 一流のエンターテイメント作品というものは、何もSFXを駆使せずとも巨額の金を投資せずとも作れるものなのだと改めて認識させられる作品。
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