「空談師」や「ナツノクモ」など、ネットワークゲームにおける人間の心理や行動原理などを描写する漫画に長けている篠房六郎氏の初期短編集。表紙にも掲載されているメイドさんのお話と、下ネタ丸出しの小学生の話、そして後ほど3巻分にわたって掲載されることになった「空談師」の元ネタ的なお話(タイトルも「空談師」そのまま)。
全般的に筋肉質っぽい人間の描写には好き嫌いが分かれるところだが、特に「空談師」ではやもすると無機質になりがちなゲーム上のキャラクタたちの生き様が力強く感じられる。
最初に掲載されている「やさしいこどものつくりかた」は錬金術師の話。人間の感情はロジック化することができるのか。もしされた場合、本当の人間との違いはどこにあるのかなど、ここにも「ネットワークというものを経由して人間が操作するキャラクタと、プログラムで形成された擬似人格との違いはどこにあるのか」という、篠房六郎氏が追い求めているテーマの片鱗をうかがいしることができる。
また、最後の「空談師」は簡潔にうまくまとまっており、後の3巻編となる「空談師」で作者が語ろうとしていたことが何となく伝わってくる。
ネットワークゲームをプレイした経験のある人や、「空談師」で氏のファンになった人は是非チェックしてほしい。
連載も購読しているのだが、まとめて読むと 物語により深く入り込めるようだ。
シモネタも微妙なラインで抑えてあるので 健康的(?) 知り合いにも読ませてあげたい
『百舌谷さん逆上する』を読んで、彼の他の作品を読んでみたくなり、購入。元々はエロ漫画に掲載された短編を集めたものらしく、変態性が全開。とはいっても、決してグロくなく、明るく正しい変態だ。コミカルで、ユーモアもある。 なんか、期待したい作家の一人。その彼の原点がこれなのか。
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