最終決戦ア・バオア・クーの戦いを、一兵士それも新兵(少年兵)の視点で描いたという作品。 TV版や劇場版で見たシーンや、ゲルググのエース機(J.ライデンかな?)やジオングがちょこっと出たりと、なかなかサービスしてくれてます。 一方主人公たちは、旧ザクにザク・マインレイヤー、そしてガトル(!)です。 こちらもシブくて良いですね。 特にガトルがそれなりに活躍してくれるとは思わなかった。(笑)
しかし人間ドラマのほうは構成力不足。 アンジェリーナ少尉の事情は主人公はおいてきぼり。 二組のカップルを描いてみせたというには、対象をなしていないし。 ザク同士の戦いってもどうかなあ。 強引さを補って余りあるほどのものがあれば良かったんだけど。
なにより旧ザクが単なる弱いMSで終わったのも残念。 役立たずと言われ続け自分は「存在価値ゼロ」と思う少年。 「戦力としてゼロ」の旧ザク。 せっかく自分と旧ザクを重ねるところで始まったのだから、ラストもこれを活かしてほしかった。
主人公ニルスはどうもニュータイプっぽいですね。 受信感度が良すぎて、それがヘタレっぽく見えてしまうわけですが。 ニルスが傷ついた機体で脱出を試みるところ。ニルスとシフォンは、ファーストガンダムのアムロとララァを思わせます。 心配したようなラストにならなくて、とりあえずほっとしました。 なのでおまけで★2つ。 やっぱり子供を旧ザクに乗せちゃダメですよ。
お遍路さん、というあまりにも地味な題材、しかも決して上手くは無く、今風でもない絵柄…ですが、本作は紛れもなく良作です。
他人に流され易い優柔不断な草食系男子の主人公・太一と、ひょんなことから道連れになった自分勝手でわがままな美女・ハルカ、という2人の珍道中が描かれます。 題材が題材ですから派手さは皆無、大仰な展開とかもありません。描かれているのはお遍路によって生まれる些細な出会いと、それによって生まれる"救い"です。"救い"といっても「アナタは神を信じますか」的な宗教色の強いモノではなく、もっとちょっとした事から生まれる些細な"救い"なのです。もう単純に"癒される"と言ってしまっても良いかもしれません。
この巻での引きこもりの青年もそう、2巻で登場するリチャードの一件にしてもそう…共に誰かと歩く事で、その誰かを見つめ、そして自分を見つめ直す、という流れが、お遍路という題材のおかげか非常にスムーズかつ自然なのですね。
世の中には"癒し系"なんて言われているモノが氾濫していますが、真の意味での"癒し"とは誰かに与えられるものではなく、自らが歩き見つけ出すもの…この作品はそんな事を教えてくれている気がします。
正に「読めば分かる」作品、おススメです。
近年の一騎当千ガンダムが戦場を闊歩する、といった作品とは逆の路線を行く作品です。 作中では、通常兵器がMSを倒すこともあるし、MS同士の肉弾戦も非常に多いです。 MSだけが戦うガンダム漫画ではないというのはかなりポイントが高いです。
絵のレベルは序盤、中の下といった感じですが、MSの描写はなかなかうまく描けています。 後半になるとヒロインも可愛く描けるようになり、主人公やその他キャラ絵も向上していき、愛着が沸いてきます。
主人公に関しては、ロボットモノによくある、気弱な主人公であり、このあたりは新鮮さに欠ける部分があります。 途中で出てくるサブヒロインや、その他キャラの過去話や回想シーンなどもよくあるもので、チープ感が否めません。
旧ザクが主人公機という異色の作品であり、また地味な役回りをこなす主人公は、スーパーニュータイプが大活躍するという、 最近のガンダム漫画とは一線を画しており、読んでいて楽しめるマイナーガンダム漫画です。
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