この作品を見るまで、アジアの作品はあまり見たことがなく、人の勧めで見たのですが、驚きの連続でした。こんな素晴らしい脚本を書く人がいるとは。トニー・レオン、アンディ・ラウらの演技も素晴らしく、音響・映像にしてもけしてハリウッドに劣らない素晴らしい作品だと思います。
間もなく、ハリウッドがリメイク作を公開すると思いますが、是非リメイク作の前にオリジナルを見ることをお勧めします。期待はしていますが、オリジナルを上回る作品になるとは思えないから。
多少、人間関係が分かりにくくなるかもしれないので、相関図などがあると良いと思います。
続編というのは一般的につまらないものが多く、この映画もあまり期待していませんでしたが、その分良い意味で期待を裏切られることになりました。この映画では若き日の2人の少年のみならず、アンソニー・ウォンやエリック・ツァンら周囲の人々の内面も掘り下げて描かれており、卓越した群像劇に仕上がっています。前作では宿命を背負ったスパイの哀しさが描かれていましたが、本作では、登場人物を翻弄し、滅ぼしてゆく「黒社会」の姿が、非常にリアルに描かれています。 黒社会は清朝末期に栄えましたが、その後も英国統治による資本主義体制の下、表と裏での勢力拡大が着実に進みました。香港の黒社会では大圏幇、新義安、14Kなどが知られますが、いずれも大陸の黒社会にはない大規模さを誇ります。その一方で大陸より緩いとは言え、中国の秘密結社特有の残忍性も併せ持ちます。この映画で邪魔者が次々に粛清されるシーンは、毛沢東が文化大革命で行った非道と瓜二つです。 香港の返還以降、黒社会の犯罪は激化の一途を辿り、同様の残忍性を持つ中国共産党と結びつく事で、表社会への勢力拡大が急速に進みました。返還当日の華やかな表の雰囲気と、多くの人が血を流し、心に傷を追う陰鬱な裏の雰囲気が、本作品では対照的に描かれています。 色々書きましたが、本作品は香港版ゴッドファーザーと呼ぶに相応しい、優れた出来栄えに仕上がっています。正義のために実の家族を裏切り続けたヤンと、叶わぬ愛のために自分自身を見失ってゆくラウ。自分の身代わりに親友が命を落としたウォン警部や、最愛の妻の死を契機に極悪人に墜ちて行くサム。彼らにもやがて哀しい結末が訪れるわけですが、それへの伏線が実に巧みに演出されており、本当に素晴らしい。続編ながら前作には決して劣らないので、まだ観ていない人は是非御覧ください。
「1」の続編だと思って見たら、結局は過去の話だった。
過去の話オンリー。「2」なのに。なーんか「2」としてはどーなのかと。
一応、副題はそーいう意味なんだろーけど。
内容は良く出来ているし、話の組み立ても悪くない。
ただ、過去の話オンリーだったということが、ちょっとな。
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