映画『めぐりあう時間たち』を見るまでは、フィリップ・グラス氏を存じ上げなかったのですが、ライナーノーツを読んでいろんないきさつが分かり、この方もめぐりあうべくしてこの映画の音楽を担当するに至ったのだと・・・ふむふむ。めったに読まないCDの解説、たまには読んでみるべきですね。 作品はクラシックの要素が強く、グラス氏の作品によく見られるらしい「繰り返しの連続」が印象的です。映画を見ていれば「あのシーンで流れた曲だ」と分かりますが、映画を見ないでこのCDを聴いた方は「意味が分からない」「よくあるイージーリスニングCD?」と思うかもしれません。 ウルフが表現した「意識の流れ」を、彼女が入水自殺したウーズ川の流れに置き換えた映像、「それを音楽にしたらこうなりました」という本作は、映画の余韻に浸るためだけに聴くのはもったいない作品でもある。映画を観たのを機に、ウルフの名著『ダロウェイ夫人』を初めて読まれる方も多いでしょう。彼女の人生に思いを馳せつつページをめくる時、初めてグラス氏の思惑を理解できる気がしてならない。
癒しを求めているひとにはもってこいのCDです。だれもが知っている曲がけっこうあります。あっ、このメロディは・・・とだれもが思うでしょう。そして知らなくてもあっいい曲だなと思う曲もかならずあると思います。値段もお手ごろでやっぱりオススメです。
ピュリッツァー賞受賞という言葉につられて読んでみた.時制は全て現在形で,初級英語の私でも楽しめる平易な文章,映画を見ているかのように情景がありありと目前に浮かんでくる.冒頭から美しく,息をのむ展開.ヴァージニアが水の中を漂う姿はラファエロ前派のミレー「オフェリア」を思わせる.Mrs Woolf, Mrs Dalloway, Mrs Brownという,V・ウルフというキーワード以外は時間も場所も異なる3つのストーリーが,適度なリズムで交錯しながら,世界にうまく適応できない不器用な心を描いてゆく.そして迎える結末には感動した.入園前の幼児を持つ私には胸をしめつけられる思いでした.
3人の女性の人生観が、平行するような形で話が進んでいく。
一見、何も関連がないかのように話が進んでいくが、
各人の悲喜劇が相互に入り乱れていく。
持続的な話の展開が続き、
常に息を呑む話が続く。
最初から最後まで山も谷もないところに
非常にシュールな感を受けた。
最後もあやふやな展開で締めくっており、
観客の価値観による解釈で評価が非常に分かれる感じた。
原題は「The Hour」ですが、なかなか好い邦題を付けたものだと思う。 3人の女性を中心に話が展開するわけですが、オスカーを受賞したキッドマンだけでなく他の2人も受賞に値する程の熱演をしている。 同じ事が繰り返される毎日のなかで、誰かのために生きてるって実感しなければ、自分の生を見つけることもできず、退屈におしつぶされてしまう。 見返りを求ずに人を愛し続けることができるのか、無意識のうちに脅迫的に人の愛を求めていないか。 「幸せ」ってなんだろう。って事を考えさせられる作品である。 長い洞窟の闇の中を手探りで進むような、孤独と不安を感じえずにはいられないが、作品は味わい深く観るたびに違った見方ができると思う。
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