少女漫画誌から青年誌へと雑誌を移っての1冊目のコミックス。 作品が掲載されたのが青年誌ということもあって、 作風なんかもある程度変わっちゃったかなーと思ったのですが、 中身は思いっきり、というか以前と変わらず少女漫画でした。 まあ、作風もちょっとは変わってるかも知れないけど、 タイトルから想像するほどではありません(笑)。 昔からのファンの人でも違和感なく読めると思います。
業界関係者は読んでいて面白いと思います。
ほんわかとした風味は作者さんの持ち味が生き生きと、従来の医療モノ……ってあるのか?からすると物足りないかもしれませんが、絵のタッチも含めて非常にやわらかい気持ちにさせてくれる一作だと思います。
光市母子殺害事件の死刑判決が確定し、世を挙げて「本村さん、ご苦労さま!」「正義はついに勝ったね!」「世の中にはあんな悪いやつがいるんだから、死刑が存置されるべきなのは、当然だね!」といった意見が渦巻く中で、テレビドラマ『なぜ君は絶望と闘えたのか』のDVDを3回も続けて鑑賞した直後に、それと対極に位置するこの作品を観た。
『なぜ君は絶望と闘えたのか』の訴求力は、確かに大きかった。そして、あのテレビドラマや、その原作である門田隆将の同名の本に感激する人に対して、「しかし、ちょっと立ち止まって、冷静になれよ。制度としての死刑の是非をあの事例だけから判断するのは、控えたほうがいいよ。冤罪死刑という重大問題を君はどう思うのだね?」と問いかけると、決まって「冤罪の問題を死刑廃止の論拠に持ち出すのは、論点のすり替えだ」とか、さらに勇ましいのになると「あらゆる文明の利器にはリスクがともなう。冤罪がリスクだから死刑をやめろというのなら、新幹線も飛行機もやめねばならない」といった意見を吐く。
その人たちがもし、「死刑存置には賛成だが、その前提として、被疑者・被告人に対しては必ず最初から弁護士をつけ、事情聴取段階から始まって、取り調べの全過程を録画することが必要だ。代用監獄は廃止し、取り調べは最初から弁護士立ち会いのもとに検察官が行なうことが必要だ」などを熱心に主張するのならば、その死刑存置論にも一理はあると、私も認める。しかし、わが国で被害者や遺族の思いを代弁すると称して運動を始めた人たちの大多数は、そうした冷静さ、公平さをもたず、「殺人事件被害者遺族の癒されがたい思いの重さを知れ!」といった感情論で世間に訴え、その延長上に被害者参加制度を勝ち取ってきた。
袴田事件は、被害者遺族の訴訟参加なしでも、検察側の主張を裁判官が認めただけで(しかも、1人の裁判官は反対意見だったのに、多数決で決めて)有罪かつ死刑になってしまった事例だが、足利事件、布川事件などの、後に冤罪が証明された無期懲役事件で、もし「被害者参加制度」が適用されていて、被害者遺族が「この人を死刑にしてくれ!」と法廷で泣き叫び、その声に裁判官が動かされていたら、ただでさえデタラメだった警察のデッチアゲ捜査に対して「被害者遺族の声」が加勢することによって、冤罪死刑判決という恐ろしい結果になってしまっていた可能性がきわめて高い。
被害者団体の人たちは、このことをいったいどう考えるのか。ぜひ正面から答えていただきたい。
この映画の中に、あなたがたが避けて通っている「もうひとつの真実」がある。
(追記)なお、この映画を観た人は『袴田巌は無実だ』という本も買って、検察側証拠のデタラメさ加減などを、再確認することをお勧めする。映像だけだと、情報が流れ去ってしまい、手許に定着しないから。また、袴田さん自身の肉声は『主よ、いつまでですか』で読むことができる。
読んでいて、こんな場面ある!と思う内容である。 「処方箋通り薬を出してくれたらそれでいいのに」と思う方には、裏で薬剤師がどういうことを考えて行動しているのか読んでいただきたい。
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