スーパーマーケットの床が雨でぬれていること。 ぼんやりした味のいちじく、それを買ったお釣りの硬貨は50円玉と10円玉だったこと。 ビスケットのチョイスをミルク紅茶にひたして食べることー。
そんな、余分ともいえる細やかな描写ひとつひとつに、自分が透き通ってくるような思いを感じる、美しい作品。 記憶とともに生きる雛子は、「神様のボート」の葉子のような美しい狂気とどこまでも静かな冷静さをもっている。 初期の江國作品を愛してやまないけれど、この作品もきっとこれから何度も手に取って読み返すことになると思う。江國さんと同じ時代に生きていられたことを感謝したくなる。
私は、主役の岡田君よりも、松潤のあまりの色気とかっこよさに終始クラクラしてしまいました。無意識にも寺島しのぶを自分に置き換えて見ていました。花より男子の道明寺役ももちろん素敵ですが、この東京タワーの耕二役も最高にはまり役だと思います!松潤大好きです★★
歯科医院を継いで歯科医師として働く35歳の桃は、入籍するつもりであった男と別れた。それは、9歳下の男・鯖崎という恋人ができたからで、桃は自分がどういう人間なのかわかったからである。それから、ふたりは、互いに束縛することもなく交際を続けているが、鯖崎が桃の友人で4人の子持ちである響子に心を寄せていくことから微妙な変化が生じる。一方、母親と断絶状態でいる桃の姉・陽にも男の影が・・・。一組の姉妹。妹の友達。友達の母親。親子、親友、恋人・・・人と人がつながるとき、強さと弱さの間で揺れる心。 自分の感情に正直な男女の出会いと別れはロンド(輪舞曲)のように異なる旋律を挟みながら何度も繰り返される・・・そこには、終りも答えも無い・・・とらえどころのない現代の男女の微妙なおもむき。“はだかんぼうたち” のロンドにハッピーエンディングは似合わない。
登場人物もストーリーも生活感がありません。説明不可能な色彩で彩られています。 それでも、とても説得力のある・現実感のある話です。それは私自身が別れを経験し、ひとりですべての季節を過ごしながら、1年間をかけて「愛情のソトバコ」だけしか残っていないことを受け入れていった時間を思い出すからなのです。 ソトバコだけの愛情はもう中味がないけれど、でもまったくのからっぽでもない・・・。そのことををゆっくりゆっくりわかっていった季節には、今でも懐かしさと近しさを感じます。そういう感覚にぴったりとくる本です。だからこの世界はなるべく個人的感傷を投入しながら味わってみることをオススメします。
あまりにも有名な、江国香織の小説「きらきらひかる」の英語版。 透明感のある彼女の文体が、英語でどのように翻訳されているのか 読んでみる価値は絶対にあり。 ただ・・・表紙(カバーを取るとますます)がちょっと・・・ あまりにもストーリーに合っていなくてビックリ。 もう少しなんとかならなかったのかなァ(苦笑)その点で 星ひとつ欠いて4つの評価。
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