先週までロンドンにいましたが、ティンバーランドをこんなに安く売っているお店はありませんでした。どんなに歩いても疲れない靴なので、嬉しい買い物ができました。見た目も可愛らしく、ロールトップなので、バリエーションも工夫出来、外出するのが楽しくなりました。
値段の割には満足できた。
ティンバーのマークが少し大きめだけど
そんなにきにならないし、全然イイよ
現在、誰もが認めるスーパープロデューサーのティンバランド。そんな彼がプロデューサーとしてデビューしたのが1996年で、その年に彼が手掛けた作品がアリーヤの2ndアルバム『One in a Million』、Ginuwineのデビュー作『Ginuwine…the Bachelor』、そしてのちにシーンをリードする存在となった天才ミッシー・エリオットデビュー作『Supa Dupa Fly』です。
Ginuwineのデビュー作は以後R&B史に残る傑作として評価されていますし、このアルバムではまだ本領発揮とはいっていませんが、ティンバランドに近い感性を持つミッシー・エリオットの登場によって、ティンバランドというミュージシャンの存在が大きくクローズアップされることになりました。
その後トップ・プロデューサーとして数々の大物とコラボをしていくのですが、その集大成とも言える作品が2007年にリリースされた2ndアルバム、『ティンバランド・プレゼンツ・ショック・ヴァリュー』です。このアルバムは前作から9年というスパンをおいての作品で、その期間のティンバランドの経験が詰まった非常に濃い作品になっています。さらに、“ヒップ・ホップ/R&Bプロデューサー”というイメージが強い彼ですが、このアルバムは実に多様性に富んだ楽曲が並ぶ内容になっています。
参加ミュージシャンも豪華で、ネリー・ファータド、ジャスティン・ティンバーレイク、ケリ・ヒルソン、ドクター・ドレ、ミッシー・エリオット、50セント、トニー・イエイヨー、フォール・アウト・ボーイ、エルトン・ジョンなど、目もくらむばかりのラインナップです。
どこから手を付けようか迷ってしまうような充実振りなのですが、まずはやはりティンバランドらしいビートの効いた作品から紹介させていただきます。オープニング・ナンバー『Oh Timbaland』はエスニックなメロディと跳ねるビートが癖になる中毒性の高いナンバーです。このメロディは相当耳に残ります。
ネリー・ファータドの奇妙なメロディと低音ベースがダークな空気を生み出す『Give It To Me』は、ティンバランドのR&Bプロデューサーとしての資質が全面に出た曲で、ジャスティン・ティンバーレイクのスムースな歌との相性も抜群です。同じくジャスティン・ティンバーレイクをフューチャーした『Release』は低音が効いていて、クラブで映えそうなナンバーです。
他にもケリ・ヒルソンとD.O.E.をフューチャーした『The Way I Are』、同じくケリ・ヒルソンとプッシーキャット・ドールズのニコールをフューチャーした『Scream』、『Hello』はR&B色の強いナンバーですが、ティンバランドにしか出来ない特別な味付けがされており、単なる質の良いR&Bでは片付けられないクオリティを誇っています。
一番興味をそそるであろう、ドクター・ドレとミッシー・エリオットというビッグネームが参加した『Bounce』はとにかくダークな空気に支配された曲ですが、とにかくビートがかっこいい!ブーンと唸っているベース、弾みながらノイジーなドラム、そしてそれに絡む不思議なシンセ音。こんな音を作れるのはティンバランドだけでしょう!さらに中盤から、まさにミッシー・エリオット!という転調をする辺りもファンにはたまりませんね。それほどコマーシャルな音ではないですが、めちゃくちゃ聴き応えのある名曲です。
さらに50セントとトニー・イエイヨーが参加した『Come And Get Me』。この大袈裟過ぎるようなバック・トラックも彼らのラップが入ると不思議とすんなり聴くことができます。
ヒップ・ホップ/R&Bという枠から大きく逸脱した曲も幾つか収録されており、この辺りにティンバランドというプロデューサーの特異性がよく現れていると思います。例えばアマールとジム・ビーンズをフューチャーした『Bombay』はインド音楽が大胆に取り入れられたナンバーで、強烈な印象を残します。また、ハードなロック・バンド、ハイヴスとコラボした『Throw It On Me』はヒップ・ホップとロックのグルーヴを力技でミックスしたような豪快な曲です。また、スタート後すぐにフォール・アウト・ボーイズ!?と感じる『One And Only』は、ほぼ黒い要素なしのポップど真ん中な曲で、『Apologize』は透明感が際立つバラードになっていて、この2曲はこれまでの流れとあまりに違ってちょっとびっくりさせられます。
エルトン・ジョンをフューチャーした『2 Man Show』は、エルトン・ジョンのピアノがベースとなり、彼らしいメロディが素晴らしい曲なのですが、コーラスとビートによってティンバランド色もしっかりとついた理想的な仕上がりで、聴くたびに音世界に引き込まれる曲です。
これだけ聴き応えのある曲が揃ったアルバムなのですが、最強の曲はアルバムの一番最後に配されている『Come Around』です。ミッシー・エリオットに勝るとも劣らない個性の持ち主M.I.A.が参加ているのですが、“ストレンジ”という表現がぴったりなとにかく変わった曲です。ライムがぶっ飛んでいて耳が離せないですし、“Dan dada dan dan B-girls on!”というフレーズが耳に残ることこの上ない!“Come down、come down come down”のところも異様にかっこいいですし。M.I.A.最高です!これは言葉で表現することは不可能で、とにかく聴いていいただきたいです。音も完全に狂ってる。この曲の中毒性はとんでもない。これほどかっこいい曲はそうそうありません。
とにかくバラエティに富でいながら、素晴らしいクオリティを持った名盤としかいいようのないアルバムです。時代が進みリリースされた当時のような先進性は薄れましたが、それでもこのアルバムに衝撃を受けることは間違いないでしょう。ティンバランドというミュージシャンがどれほど才能を持っているのか思い知らされる作品です。
Reviewed by ちょっと寄り道 [音楽の旅] [・・・]
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