かの有名な傑作、吸血鬼ドラキュラに影響を与えた作品。魅惑の女吸血鬼が若い娘たちを餌食にする様はどことなくエロチシズムを感じさせる。ドラキュラに影響を与えたのに知名度や映像化が低い悲劇な作品
本書は、1897年初版だそうですから、もはや古典。作者のブラム・ストーカー(本名:エイブラハム・ストーカー)は、両親が公務員で8歳まで寝たきりで内気な性格だったそうですが、11歳ごろから鍛錬をはじめて大学では運動部に所属し、性格も明るくなった、というちょっと変わった人のようです。大学時代には劇評を投稿することで有名になり、名優アーヴィングの一座のマネージャをやりながら、本書を書き上げたらしいです。ドラキュラ伝説をもとにした本はいろいろあるそうですが、ドラキュラといえば本書というくらいの決定版です。 各登場人物の日記が交互に登場する、というった文章構成です。 弁理士(と訳されているけど司法書士?)のジョナサンは、ロンドンに土地を買いたがっているドラキュラ伯爵をトランシルヴァニアに訪ねますが、そこでドラキュラ伯爵に監禁されてしまいます。ジョナサンの婚約者のミナは、ジョナサンが音信普通となってやきもき。 ミナの親友であるルーシーは、アーサーと婚約しますが、夢遊病の気があり、大量の血液を失って衰弱していきます。ミナを診ていたジャック・セワードはヴァン・ヘルシング教授に助力を仰ぎますが、ルーシーはついに衰弱死。しかし、ルーシーの衰弱は、ドラキュラに血を吸われたことが原因であり、死ぬことはなく不死者となります。ヘルシングは、アーサーやセワードたちの協力を得て、ルーシーの心臓に杭を打ち込み、ルーシーを成仏させます。そして、ヘルシングたちは、ドラキュラと対決することになります。船に乗ってロンドンにやってくるドラキュラ。 ドラキュラは怪力であり、奸智にたけ、死者を操り、嵐や雷を呼び、獣に下知し、体を小さくしたりと変幻自在で神出鬼没。ただし、太陽や十字架、にんにくに弱い。 ドラキュラ城から脱出したジョナサンも加わり、ヘルシング、セワード、アーサー、キンシー(元・ルーシーの求婚者の一人)の6人で、ドラキュラがトランシルヴァニアからもってきた土(隠れ家)をつぎつぎに浄化。ドラキュラは、トランシルヴァニアの居城にもどろうとしますが、これを6人は追いかけます。 最後、キンシーは死ぬものの、日没寸前ギリギリにジョナサンがドラキュラを斬ることに成功し、ドラキュラは滅びます。 ブラム・ストーカーのドラキュラはコッポラによって映画化されていますが、コッポラのドラキュラは愛深きゆえの死の超越、というテーマがあったものの、本書のドラキュラは完全なモンスターです。貴族で、ずば抜けた頭脳をもっていて、それゆえに不死に至った、という設定になっています。ある意味、純粋で混じりけのない真性・怪奇小説だといえるかもしれません。 ルーシーに求婚してフラれたセワードが、ルーシーを助けるために自らの血を輸血する場面があるのですが、「愛する女性の血管の中へ自分の生き血が注入されていくことが、どんな感じのものか、この気持は経験したものでないと、わかるまい」「個人的な誇りのような感情がわいてくるのをおぼえた」とあり、血の分け与え、吸血による寿命延長、のように血=生命そのもの、という捉え方が、このドラキュラ小説の底流にあります。
マニアック過ぎてビックリです。 コレが日本で発売になるとは・・・・ まあ、村人が吸血鬼になり隠蔽をする吸血集団ものです。 ちなみにドラキュラは出て来ませんね。w w
ドラキュラ伯爵を演じるリーさまも狂気の表情が凄まじいけど、 カッシングさま演じるDr.ヘルシングが最高にカッコいい! この2人の演技が素晴らしく素敵。
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