☆奴隷制度時代から人種差別と偏見がはびこる苛烈な環境であるアメリカ南部、ミシシッピの田舎町で殺人事件が発生。通りすがりの黒人青年の身柄が拘束されるが、この男の正体は何とフィラデルフィアの若き敏腕刑事バージル(シドニー・ポワチエ)だった。その彼が助っ人として事件解決のために協力する事になる。そして、地元の傲慢な白人警察署長ビル(ロッド・スタイガー)と対立しながらも事件を解決していく。という、捜査サスペンスの基本的要素が詰まった秀作で、物語自体は今でこそ珍しくないが、黒人を含めた有色人種に対してのアメリカ南部の排他的な連中たちの差別や偏見は想像を絶する程で、根深く残る人種問題を主軸に、背筋が凍えるような実像が鮮烈に浮かび上がってくる露悪的な設定に加え、徐々に事件の真相が明るみになっていく切迫した検証描写には、並の刑事ドラマにないような段違いの迫力があるし、映画の舞台にもなっている、ミシシッピのロケーションを生かした地方色の環境や風景の、うだるような熱気に包まれたムードが画面全体を覆い隠し、危うい緊張感が滲み出ている。しかし、深刻な暗い社会派とは程遠いテキパキした展開が、すこぶるヨロシク、張り込み&聴き込みを中心とした地道な捜査を丹念かつ根気よく描いているところも興味深いのだが、それ以上に面白かったのは、黒人であるバージルを毛嫌いする南部の住民が捜査を妨害したり、事件に巻き込まれるのを恐れて協力を拒んだりするなどの目先を変えた趣向が、日本の時代劇でお馴染みの捕物帖を連想させるモノがあって、思わずニヤニヤさせられるし、最初はいがみ合っていたが、理論派で知識豊富なバージルに、とてつもないカルチャーショックを受けたビルが、その実直な人柄に惹かれていき、いつしかバージルと人種の壁を超えた友情に芽生えていく相思相愛的な場面も微笑ましい。ノーマン・ジュイソン監督のほころびのない、ガッチリした演出が作品を成功に導いたと言えましょう。ガムをクチャクチャと噛む姿がトレードマークである、黒人嫌い?の、ふてぶてしい白人警察署長ビルを性格俳優ロッド・スタイガーが好演(※1967年度アカデミー主演男優賞)。極めつけが、黒人俳優の先駆けとなった偉大な名優シドニー・ポワチエの魅力満点の素晴らしい大熱演にも拍手を送りたい。さらにウォーレン・オーツや紅一点の美女リー・グラントたちの名脇役ぶりも快調で、クインシー・ジョーンズが奏でる、けだるいシビアな音楽も効果絶大。白黒コンビ及び、ブラック・ムービー(黒人映画)の原点であり、起爆剤となった、極上のクライム・サスペンスです!★。
殺人科の黒人刑事、南部で殺人事件に巻き込まれる。被害者は大工場を建てる資本家。犯人は誰か。木綿農場の主、帝王と言われた男か。あるいは、その夜のパトロールしていた警官か。黒人刑事は遂に真犯人を突き止める。真犯人はピザやの若い主人。黒人刑事と署長の友情が良い。1967年頃のアメリカはこんな状態であったのか。 プラトーンは1986年のベトナムを真っ正面にすえた作品。ベトナム戦争はこのころすでに始まりつつあったのである。国内で黒人差別、国外で泥沼化するベトナム戦争、アメリカの若者たちはまもなく叫び始める。 この作品は抑えた表現で確実に市民権を得た。
上質な推理ドラマと、アメリカ南部の人種差別の実態を上手く織り交ぜて描いている。事件を推理する一方で、ともに事件を解く人種差別的な所長と黒人のテッィプスが対立しながらも次第に打ち解けていく様子が面白い。
こちらの本は「秋の犯罪撲滅スペシャル」「歳末特別警戒スペシャル」及び「踊る大捜査線THE MOVIE」の3つのストーリーの小説版です。今更読んでも・・・と思うかもしれませんが、本として読むとやはり映像版には無い心の動きなども描写されているため奥や裏がわかります。 映像版から多少アレンジがされていますがスムーズにかつテンポよく読めますので「踊る~」ファンは一度読んで見てください。やっぱり青島刑事の「事件は会議室で起きてない。現場で起きてるんだ!」のセリフは小説になっても光り輝いてます
67年製作。子供の頃に一度見た記憶がある。シドニー・ポワチエを知ったのはこの映画だった。NHK教育で放送していたので観てみたら映像のきれいなこと。びっくりした。死体を運んだ車のディーテールを映すアップの質感はすばらしい。昔の映画なのにどうしてだろう。映画最後のロングの映像ではフィルムの経年変化によると思われるノイズも確認できた。やっぱりデジタル処理というのをかけているのだろうか。発売日の新しいソフトの方が安くて映像がきれいな可能性がある。
|