今まで作った三作品の中で一番ポップソングに仕上がっていると思う。
やはりメジャー作品一作目だからか
大衆向けにしつつも、業界関係者に
「僕はこんな大衆作品も作れますよ」と宣伝しているように感じられた。
大衆向けといっても「彼なりのキャッチーなメロディー」というか、なんというか。
兎に角、好事家にお勧めです。(キャッチーじゃねーじゃん)
「EXIT」に限らず彼の音楽を聴いていると、時代は違えど初期の細野晴臣や大滝詠一を思い出した。
是非、興味を持たれている方はYOUTUBE等で彼の奇妙なPV作品も是非ご覧下さいな。
好きな曲が多くあり、アルバムとしての完成度は高いと思います。
三輪明日美さんも猪俣ユキさんもかわいすぎ!共演者に『御法度』の松田龍平さんや『天国の本屋』の玉山鉄二さん、『木更津キャッツアイ』の塚本高史さん等、今大活躍中の若手は俳優さんがたくさん!話の内容もスキです。
土曜社の豊田と申します。
坂口恭平アルバムの出版にたずさわる者です。 思い入れが先走るレビューになること、割り引いていただければ幸いです。
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さて、いきなり自分のことですが、はじめてCDラジカセを手に入れた高校一年生のころから、20代の半ばにかけて、音楽をえらぶときに、ずっと自分の耳をあてにすることができませんでした。
何のこだわりもなく、すなおに聴いてみて、感じるままに音楽を選びとることが、自分にはできないと思い込んでいました。 でも音楽を聴くと気分がいいし、聴けば聴くほど、未知なる音楽が気になってくる。
そうしたことから、サバービアスイートに代表されるディスクガイドを丹念に確認しては、「アコースティックソウルの最高峰」というようなキャッチコピーを頼りに、中古レコード屋に通いはじめます。
通うこと自体も、同級生と連れ立ったりしながら、楽しくやっていました。 渋谷・下北沢・西新宿・神保町などをぐるぐると歩いて、散歩もかねていたのでしょう。
思えば、人の意見やディスクレビューを頼るようになったことについては、高校2年生のとき、初めて名古屋・栄にあったHMVでCDを買った日に由来があるかもしれません。
そのとき購入したCDは、ランキングの首位に輝くボン・ジョヴィのベスト盤でした。 ちょうどクリスマスの迫る、師走のころだったでしょうか。
みんなが聴いているから、まあ、いいんだろうと。 10代の柔軟さのなせるわざです。
本題から外れているようですが、忘れもしないのは、そのとき同時に購入したもう一枚のアルバムでした。
ボン・ジョヴィを持ってHMVの黒を基調にした店内をうろうろすると間もなく、赤い表紙のアトミック・スウィングなる見知らぬロックバンドのアルバムに目がとまりました。
視聴してみると、いい感じで音が鳴っています。 これは見つけものをしたというような気分で、ボン・ジョヴィと一緒に購入して店を後にしました。
ところが、三重の自宅に帰ってきいてみると、店頭で試聴したときの気分は、二度とよみがえることはないんですね。 あの気分は、いったい何だったのでしょう。
試聴機のヘッドフォンで聴くのと自宅のラジカセとでは音が違うのは当然のこととしても、それより何より、繁華街のレコード店で、おしゃれした人たちを眺めながら、同じようにCDを視聴している自分がついに都会の景色の一部になりおおせたような満足感も手伝って、
「このアルバムは、将来にわたって自分が熱心に聴くに足るものか」
という検討をすっとばしてしまったのでしょう。
田舎の高校生の10枚にも満たないCDライブラリのことです。 やむなく、高校生活を通じて何度もこのアトミック・スウィングを聴いて放課後をすごしましたが、そのたびに、自分の耳は信じるに足りないという思いを強くしました。
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さて、くどくどと書いてきましたが、この坂口恭平アルバムの入口にたどりついた、特に10代、20代の若い人たちへひとこと――、 20代だったころの自分には決して届かなかったであろうことを言わせてください。
すなわち、人の意見は参考にとどめて、できるだけ機会を広くとらえて、音を聴いてみてほしい――このことです。
幸い21世紀に入り、YouTube を使えば、自宅で好きな音楽をえらんで視聴することができます。 高校生だった私がしくじったようにスタイルが先走って回り道をする恐れも少ないでしょう。
この坂口恭平アルバム「Practice for a Revolution」は、その全11曲を YouTube で公開していますから、まずそちらを聴いてみてください。
アルバムは、少なくとも向こう数十年にわたり出版し続けます。 急ぐ必要は、ないのです。
どうか慌わてることなく、自分の中で音が鳴っているときに、このアルバムを思い出して聴いてみることをおすすめします。
七尾旅人って存在に触れるたび、僕は凄く音楽の未来を感じる。 全国の強者(音楽という括りもなく)と即興で広げられるライヴ空間や強烈に惹きつけられる話術、初めてライヴを見たとき、なんて魅力的な人なんだろうと思った。そしてそれはライヴを見るたび増していった。 そんなライヴ巡業で何曲作られたかわからない新曲(ここに収録されている何倍もの曲)から選び抜かれて作られたこのアルバム、発売日までドキドキしながら待った甲斐が本当にありました。 ただひとつだけ「どんどん季節は流れて」のコーラスはライヴでお客さんに歌わしような感じにしてほしかったです。うーんと思ったところは本当にそれだけ。 「七尾旅人」っていう歌と同時代を生きれるのがただ、ただ嬉しい。
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