通常この曲は弦楽オーケストラで演奏されますが、この演奏では1人1パートで構成されています。 構成は、ソロ,1stバイオリン,2ndバイオリン,ビオラ,チェロ,コントラバス,テオルボ,オルガン&ハープシコードの8人編成です。 1人1パートの構成で録音されたこの演奏は、音量変化などダイナミクスに対して柔軟であり、即興性があります。そしてアンサンブルにとても透明感があり、非常に美しい演奏になっています。 四季以外の曲が入っていないのが惜しいですが、綺麗系の古楽解釈が好きな人なら一聴の価値ありだと思います。
バッハがクラヴィーアのために残した大曲を、ヴァイオリニストのドミトリ・シトコヴェツキーが弦楽三重奏に編曲。このディスクはその弦楽三重奏版による。ちなみに、同じシトコヴェツキーの編曲による弦楽合奏版も作られており、ノンサッチレーベルから編曲者弾き振りの廉価版ディスクが出ている。
世界的人気チェリストのマイスキー(彼にとっては再録音)、欧州中心に旺盛な活動を続けるヴィオラ奏者今井信子、そして若手ヴァイオリニストのラクリンが、本当に楽しげに演奏を展開する。
実はずいぶん以前からゴルトベルク変奏曲には挑戦していたのだけれど、あのグールドの名盤を耳にしても、恥ずかしながら私にはピンとくるものがなかった。
この三重奏版を聴き、その高度なポリフォニーの片鱗を垣間見ることができ、ようやく目が覚めた。曲の理解へ向けての扉が一気に開き、ピアノやチェンバロでの「ゴルトベルク」も楽しめるようになった。
バッハの精神を見事に換骨奪胎した名編曲の、名ディスクに心から感謝。
録音も実にみずみずしく、気品高い。
さすがラクリン君、素晴らしい演奏です。特にモーツァルトの3番の演奏には深い感銘を受けました。何度も聴きたくなる本当にいい演奏だと思います。
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