本作に於ける、中井貴一の冒頭のシーンは強烈だ。出世意欲に取り付かれ、バリバリ働く役員候補役だが、
どこにでもこういう人はいる。同期の首切りも平気、工場の閉鎖も紋切り型で進める。
いわば「見るからに嫌な奴」だ。これらのシーンでの橋爪功、エンケンとの演技対決もド迫力であり、導入から引き込まれる。
よって、本仮屋ユイカ演じる娘には無視され、高島礼子演じる妻ともスレ違いだ。
地位と年収を得ることが、はたしてこの男の「夢」だったのか?まさに自分にも同じ問いかけをされた感じだ。
母親の命の限界を知り、また「本当の夢」を叶えるべく、肇は49歳にして一畑電鉄の運転士に転職する。
またここにも三浦友和の息子である、貴大演じる「プロ野球入りを挫折した」やる気のない若手がいる。
ここからは島根県に舞台が移るのだが、雰囲気は突然「ほっこり」する(笑)。地方だから、とかそういう理由ではなく、
そこに可愛い「バタデン」があるからだろう。
本作はもともと「バタデン〜一畑電車物語」として、ご当地映画となるはずだったが、ROBOTの意向もあり、本題名に変わった。
自分としては「バタデン」のほうが良かったと思うのだが・・・。
考えてみると、ROBOTと松竹のコラボは「タイヨウのうた」に次いで2作目だ。ほとんどが東宝と組む製作会社なので、
これはこれで珍しかった。松竹としては「ALWAYS三丁目の夕日」に引っかけたかったんだろうなあ・・・。
結局、映画を観るまで「どこの鉄道かわからず」、資金を出した島根県議会からは、若干のクレームもあったそうだ。
特典映像はメイキングと舞台挨拶だが、こちらはSD収録だ。ただし、本編ディスクにバタデンと四季を巡るPVが収録されており、
こちらの出来はいい。おまけにHD収録だ。
環境が整っているなら、DVD版よりもブルーレイをお勧めします。星は3つ。
この映画数年前にテレビで見て衝撃を受けその後忘れてて最近ごぜの本とか読みまくった中に原作の「はなれ瞽女おりん」があってそれを読んだら猛烈に見返したくなってDVDを購入してしまいました。
話は男と関係を持ったためはなれごぜとなったおりんと脱走兵として逃亡中の鶴川(偽名)の純愛ロードムービー。
とにかくおりん役の岩下志麻が最高にいい!
当時36歳くらいだけど15,6歳から30歳くらいまでのおりんを見事に演じきってます。(盲目なので目はずっと閉じたまま)
純潔っぽさと色気の両方を兼ね備えた岩下志麻はもう無敵やなー。西田敏行とかきききりんとかもかなりいい演技してるけど岩下志麻のおりんには誰もかなわない。
この映画見た80パーセントに人は志麻ファンになることでしょう。
はなれごぜとしてずっとしいたげられてきたおりんは鶴川とであって初めて女らしい、人間らしい暮らしと気持ちをもてたと喜んでるがほんまによかったのはおりんと出会えた鶴川でありこの映画をみているおりん(志麻)ファンなのだった。
いやあ・・・・これ見てない人は必見映画だと思います。
値段で購入を躊躇っている皆さん、その気持ち分かります。
私もさんざん悩んだ挙句「1CLICK」をクリックしたときは、
「やっちゃったかなー」と思いましたもの。
でも、聴いて納得。これは値段以上の価値がありますよ。
いなかっぺいによる津軽なまりの朗読も聴きごたえたっぷり。
「畜犬談」「きりぎりす」「皮膚と心」「葉桜と魔笛」などは、
小品だからと安易に選ばれたのだろうと思ってあまり期待せずに
聴きましたが、なかなかどうして。まったく聴かせます。
「畜犬談」なんかはそのまま落語としても通用するのでは?
岸田今日子による「ヴィヨンの妻」、
奈良岡朋子の「斜陽」全編朗読は、まさに贅沢なひと時。
名優たちが自分のためだけに朗読してくれる、
特別な時間を満喫することができました。
自分は43歳。
家族のためだけに働いています。
でも日常は戦いの日々。精神科にも通いながら一日一日を乗り切っています。
そんな境遇だからこそこの作品を心から感情移入して鑑賞しました。
奇しくも自分も列車の運転士を夢見ていた身。
でも両親に反対され今の道へ。
正直、後悔しています。
家のローン・子供の教育費・・・現実を直視すると、自分には今の道を外れる勇気はありません。
でも、この作品は可能性と一抹の希望を私に与えてくれました。
こんな生き方もあるのかなと。
現実逃避かもしれませんが、本作を見ながら生きる希望をもらいました。
本当に自分のやりたいことが何だったのかを二十数年来考えさせられながら・・・
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