めったに本を読まない(と思っていた)知人から、「この本はおもしろいよ!」と言われ、タイトルにもひかれて購入しました。 その言葉通り、とても素晴らしい本でした。 前半は、著者のパルバース氏が数奇な運命でまったく見知らぬ日本にたどりつき、若泉敬と知り合い、宮沢賢治と出会って、ものすごいスピードで日本にのめり込んでいったさまが軽快なテンポと巧みな語り口で語られ、後半は、氏の40年以上にもおよぶ日本滞在での体験から、おもしろく、独自の視点で日本を捉えていきます。 特に、わたしが「なるほど!」と思ったのは、第14章「真に非宗教的な先進国、日本――世界を対立から救うのは、日本以外にない」の内容です。 たしかに、先進国のなかで、はっきり、また毅然と政教分離の政治を行なっているのは、実際、日本ぐらいだし、だからこそ、「キリスト教の欧米とイスラム教の中東とが衝突する世界において、交渉の仲介を務めるのに、最もふさわしい立場にある」と氏は言います。 さらに、だからこそ日本人は「あらゆる宗教に敬意を払うことができる」と指摘します。 わたしには、これはまさに「目からウロコ!」の視点でした。 ドナルド・キーン氏やアレックス・カーン氏とはまた全く違う観点や解釈や体験から、日本文化への深い理解と愛が語られている点も、非常に新鮮でした。 ぜひ、20代の若い人たち、高校生に読んでもらいたい! もちろん、うちの中学一年の息子にもぜひ読ませるつもりです! 薦めてくれた知人にも心から感謝!
ミニアルバムの「シフォン主義」に続いて出た初のフルアルバムである本作「ハイファイ新書」。このサウンドの新しさには、ほんとに驚いたし、こいつら本物の新世代だという衝撃は、むしろ本作を聴いた時に感じた。特にサウンドは、普通のギターポップなのに、明らかに今までと違う質感があった。それは意味不明な歌詞と感情がほとんどこもっていないボーカルなのにも関わらず、この時代の焦燥感であるムードを掬い取っているという点だ。ここまで自然体で、この時代の持つムードを醸し出せるなんて、これは明らかに新しい世代の鳴らす音楽なのだ。七尾旅人の新作が、情報過多の時代(特に音楽に対する)の混沌に対する、諦念を乗り切って覚悟を決めて生み出した作品だとしたら、これは諦めへの労力が費やされずに、あっさりと時代の雰囲気を描ききっているところがすごいところだ。良い音楽を作ろうとかとも違う、ただ今あるムードを自然体で音にしたような感覚。
たくさんの曲が入っていて、これ1冊で有名な曲は全てカバーできます。 編曲は、アヴェクピアノやオールアバウトBTTBなどの監修楽譜よりも明らかに質が良く、原曲に近いです。 例えば戦場のメリークリスマスは、アヴェクピアノではイントロの部分のアルペジオが省かれていたり、テーマの変奏のところの音が抜けている部分もありましたが、この楽譜ではしっかり完璧に採譜されています。 エナジーフローに関しても、同じようにアルペジオや音の省略がなく、一切妥協をしていません。 その分、ピアノを始めたばかりの方には引くのがつらい部分もあると思いますが、練習すれば必ず弾けます。 この編曲で40曲近く入っているので、1冊持っていて絶対損はないと思います。
10カ月の娘のためにと購入したのですが、サイズもちょうどいいし、木目も自然でいい感じです。ポロリンリンと鉄琴のような音で、叩けばかなり音量も。細かいタッチにはついてこれませんが、それはそれでいいでしょう。叩くと音が出る、ということが楽しいんでしょうから。
発見が3つ。1)団扇であおぐと、ちょうどビブラホンの様に、音がホワンホワン共鳴します。ミルトジャクソンの気分になれます。原理的に、そうなんでしょ。
2)テレビの前に置いておくと、ちょっとした音取りの時に便利です。キーはそれなりに合ってるので、ああ、こんなコードなんだ、ってことがその場で確認できたりするんですね。
3)10カ月でつかまり立ちの時期ですが、つかまり立ちの高さがちょうどいい。
まだ、子供は、じゃんじゃん手のひらで鍵盤のあたりを叩いているだけですが。
とてもよい買い物をしました。
アルバムの7曲目「そこのアイロンに告ぐ」を聞いて鳥肌が立った。ゲストは上原ひろみ。今の日本のジャズシーンで最も熱いピアニストだ。矢野顕子との競演はまさに新旧女性ジャスピアニストのバトルという表現がまさにピッタリである。「そこのアイロンに告ぐ」は1986年の「峠の我が家」に収められている。モダンジャズ形式をもちダイナミックなリズムを刻むこの曲はお互いスタイルの違うピアニストがジャズという土俵で戦うのに格好の素材であるといえよう。矢野顕子の曲ではあるが、普遍性を持つジャズレパートリーともいえる曲なので、必ずしも矢野有利とはいえない。むしろジャズ直球ど真ん中で活動している上原若干優位といえるだろう。イントロ部分から引き込まれる。加速度的にドライブが増していくこの感覚。白熱のピアノバトルだ。また録音も良い。長年、矢野顕子のピアノ録音に携わっている吉野金次との息もピッタリだ。ファンとしての贔屓目ではなく、一人のジャズファンとして、この演奏は日本のジャズピアノの歴史にも名を残すような名演奏であるといえよう。(筆者は矢野顕子デビュー以来のファン)
|