すっごい懐かしい歪曲王以来の概念、ブギーポップと同格の存在が登場します。
世界の敵かと思わせておいて実は・・・かと思いきや・・・何と・・・という展開。
これまた懐かしいアニメ版のある固有名詞が登場するのですが、全く別物です。(でも、能力自体は少し似ているかも)
人物劇に終始していて、上遠野作品に特徴のくたびれたような背景道具もほとんど登場せず。上遠野作品ならではの滋味はほとんどなかった。
表紙もあれだし、ラノベというのはおにゃのこの絵を小説という体裁をつけて売るもんなんすかねぇ。
こういったサスペンスものはノベル等大好きで良くやります。
推理はとても簡単、かつ間違えても問題無いので謎解きを楽しむ方には不向きです。
単純に展開が気になって熱中してやっていたら1日で終わりました。
しかし本編とは別に入っている「ウエストビレッジ」もなかなかおもしろい。
すごく短い小説の中から答えを探してペンで線を引いたり、
ルートをペンで書いて解答したりなかなかはまります。
気軽に楽しむには良いソフト、推理に重点を置くなら熟考の余地あり。
ある意味、ゲームブックの悲劇は、このソーサリー四部作が「元祖でありながら既に完成されてしまっていた」事に尽きる。生みの親であるスティーブ・ジャクソンにしてすら、この四部作以降、これを超える作品を作れなかったのだから、いかに完成度が高かったかが分かる。
ジョン・ブランシュにより描き込まれた挿絵も非常に独特で強烈な魅力があり、この人の挿絵が無ければ、いかに作り込まれた内容であろうとソーサリーの魅力は半減してしまっていただろう(残念ながらこの復刻版の表紙絵はオリジナルの雰囲気をまったく伝えていない)。この人の描く絵には「生活臭」がある。街の裏通りの危険な雰囲気、そこに建つ薄汚れた小屋と奇妙な住人、埃の被った棚に積まれた小物の数々、臭い立つ肥溜めなど、最近のゲームの定番となった小奇麗な「中世ファンタジー」とはまるで違う世界の猥雑さや息遣いを感じる。
ただ、ズル無しで真っ当にプレイすると非常に難度は高い。特にこの「カーレ」は難しい。「道を右に行くか左に行くか」などの単純な二択でもうクリア出来なくなる場合がよくあるのがゲームブックの欠点だが、取り返しの付かない所が現実でもあるので、そのシビアさにどっぷり漬かって遊ぶのも醍醐味と言える。
PS.復刻版についての不満。
この作品のタイトルは「城砦都市カーレ」であって、「カレー」ではない。原題は「Khale」なのだから発音も「カーレ」で良いはずだし、そもそも食べ物の「カレー」を想起するから「カーレ」と表記するのが普通の感覚だろう。誰が変更したのか知らないが、「カレー」だの「魔の罠の都」だの、センスのない無粋なタイトル変更は止めて欲しい。表紙絵の変更もやめて欲しかった。基本的に復刻はオリジナルに忠実であるべき!
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