百年という歳月をかけて、人間は何を成しえるか。
20世紀と21世紀を比べると、あまりにも多くのことが変化、進歩したように思える。 確かに、技術や文明は、百年前とは比べ物にならない。 しかし、人間と、その心はどうだろうか。 昔の小説を読んで人々が感動するように、歴史の中で同じ過ちが何度も繰り返されるように、不可逆的・直線的な文明とは違い、人と歴史は円環のようにぐるぐると回っている。
ブエンディア家は、百年かけて孤独の円環から抜け出す。 メルキアデスの古文書の秘密を知るまで、愛によって子供が生まれるまで、なんと百年の歳月が必要だった。 アゲイン、そしてまたアゲインと、まるでゲームのリセットボタンのように、符号がかちりとそろうまで、時間の円環は回り続ける。
多くの知識人や著名人が、この本を傑作と呼ぶのもうなずける。 とにかくスケールがあまりにも大きい。目がくらむ。 歴史は繰り返し、人は忘れていき、栄えるものは滅ぶ。 そんな時間の物語は、読んでいる最中よりもむしろ、読んだ後にじわりと重さを増していく。
すくなくともアメリカは中南米の貧しい国々の人々にとっては希望の国であり続けている。アメリカに辿り着きさえすれば、少なくとも今よりはマシな生活を送ることができる。そう信じて、幾多もの人々がメキシコを超えアメリカをめざす。とはいえ、不法移民のアメリカでの生活を知る者ほど、多大なリスクを払ってまでアメリカを目指す価値があるのか考えざるをえない。それを知ってさえ、彼らは希望の国を目指すわけで、そこんところをもっと掘り下げてほしかった。欲を言えば、アメリカでの南米系の不法移民の生活と、彼らの母国(送出国)での生活とを、もう少し作品に織り込んでほしかった。とか、そんな無いものねだりはやめにして、私たち日本人を含む先進国の日常が、幸福への片道切符として光り輝いて見える人々が世界のマジョリティーであることを、あらためて教えてくれる良作です。
この本を開いたとたん、まるで、1960年代にタイムスリップしたかのような感覚を与えられます。…私はコインを握り締め、お店の中で何を買おうか迷っている…! 食料品、洗剤、食器、ちょっとレトロなパッケージのデザインたちが、とても新鮮です。1ヶ月は楽しめますよ。
豪華なキャスティングの割に中身がないという批判もあるようですが,豪華キャストの無駄使いのような内容を私は単純に楽しみました.他の映画とは一味違う笑いをくれましたし,他の映画ではないような驚きを楽しみました.ジュリア・ロバーツがジュリア・ロバーツに扮したり,ブルース・ウィルスが突如あらわれたり,「オーシャンズ11」にさらに「遊び心」が加わり,登場人物の会話は相変わらずウイットが効いていてフフッと笑わせてくれます.名画を目指して作られた映画ではないので,ビールでも飲みながら単純に視聴者として楽しめればそれでよいのでは.
70年代のガルシアのソロ・アルバムって、グレイトフルデッドでやってるときと比べると散漫というか、つかみどころのないものが多くてけっこうがっかりさせられたんだけど、90年代に入ってこの「ジェリー・ガルシア・バンド」になってから俄然良くなったように思う。
このアルバムは90年のサンフランシスコでのライブでもう15年も前になるんだけど、いま聴いてもガルシアのみずみずしいギターに感動させられる。デッドの音楽はよくも悪くもメンバーのエゴが激しくぶつかりあってまさにカオスそのものの状況を呈することが多いんだけど、このバンドは、それぞれの役割が十分に整理されて無駄な音というものがまったくない。なかでもドラムのデヴィッド・ケンパーはほんとにいいね。
とても気持ちのいい空間のなかでガルシアの澄んだギターと歌は、デッドで聴かせるとき以上の冴えをみせる。邪気がないというか、ほんとうにピュアーな音楽というのはこういうものだなと思う。ディランやウェイラーズ、ロス・ロボス、スモーキー・ロビンソン、ビートルズなど、大人の選曲という感じがまたいい。
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