演奏を巨匠で例えるとするなら、グリュミオーの様な演奏をする。 だが若干、技術力は見劣りする。 が、それを表現力でカバーしている。 今日、数多くの演奏家がパガニーニのカプリースを録音しているが、 その中では、並の演奏だと思う。差し詰め中の上と言った所だろうか・・・
演奏時は、より技術力を全面に押し出すか、それとも表現力を押し出すかに大別されると思う。 彼は、どちらかと言うと後者である。 ハッキリ言って、好みが分かれる演奏である。
比べては失礼かもしれないが、 私の場合は、アッカルドの方が断然素晴しく聴こえる。
カプリースに詩的センスを求める人には、このCDはウケるかもしれない。
彼の演奏した"God save the king"を聴いても分かるように、 アッカルドなどと比べると技術が譜面に追いついておらず、彼はパガニーニの演奏には向いていない。 どちらかというと彼はモーツアルトなどの演奏の方が断然素晴しい。
オペラ曲のCDが6枚中2枚、レクレイムが1枚で聞きたくない人も、多いと思うが、残り3枚は、十分聞けるので損はしないと思う。
音も演奏もよく、リラックスできる。オペラはオペラでCDごと分かれているので、好みにおおじて聞けるので、かえってよいのでは。
正統派の演奏です。そういう意味では面白みがないかもしれないですけど、しかしバイオリンの音は最高です。なめらかで絹のようなつやを感じます。美しい。
甘ったるく華美なチャイコフスキーはこの人からは期待していなかったが、その通りだった。しかし、それが悪いのかというと、それはまったくない。むしろすばらしいと思う。 下手すれば安っぽく感動を押し付けるがごとき音楽に成り下がってしまうチャイコフスキーだが(そういうところも含めて大好き)、ツィンマーマンにかかると端正なメロディが浮かび上がってくる。一切刺激的な音を発することもないのも毎度のことではあるが、このアルバムでは特にその傾向が強い。ヒステリカルにならず、淡々とメロディを丁寧につむぎだしていく。そのおかげで、トゥッティが生き生きと聞こえ、それが故にチャイコフスキーならではドラマティックな展開が聴ける。 とにかくこれだけ安定したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はなかなか聴けないのではないだろうか? ハイフェッツとライナーの颯爽とした演奏もいいし、パールマンとオーマンディの華麗な演奏もすばらしい。そういった名盤、愛聴盤の列にこの安定感抜群なツィンマーマンとホーネックの演奏を加えたいと思う。 チャイコフスキーのほうばかり触れてしまったがブルッフのほうもしっかりとした構成で演奏されている名演。
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