空とは、存在の本質というものが無く全てがお互いに依存して成り立っているという事実を指す、というのが私の理解です。しかし桑田氏の言う空は「魂の世界」や「超存在」という言葉が使われていることからもわかるように、この世とは別の世界が「有る」という主張のように見受けられます。ご本人も、空の世界をこの世の価値観で描写することの危険性については自覚していますが、私には釈迦が語らなかったこと「無記」の態度を逸脱して抽象論に入り込んでしまったように思います。しかし、全てに実体がないという私の空の理解では、なぜ無や空を自覚した人間に慈悲の心が生まれるのかという謎、なぜニヒリズムに陥らないのかという謎は残ります。このように、著者の主張は受け入れられないものの、空について自分の理解と対比して考えることができたという点を評価して星3つです。仏教者であった弁護士遠藤誠氏のあとがきにも私と同じように、空の理解が違うと前置きした上で桑田氏の世界観に一定の評価を与えていました。
いままでいろんな般若心経の本を読んできましたが、一番分かりやすく奥深く知ることができました。
冒頭の般若心経の訳がいままでの本の中で一番シンプルで分かりやすいです。
一度に読めなくとも、仕事や家事の合間に手に取れ、何度でも繰り返し読める本です。 絵入りで般若心経の説明をしてくれているので、子供もたまに手に取っております。 自分の苦悩に応えてくれているのかな? いい本買ったと思っております。
子供のときに大人の漫画雑誌を立ち読みしていたら桑田次郎氏の作品が載っていて、8マンのサチ子さんと同じ顔の美女がエッチなことをしている描写を見て興奮したのを憶えている(そのときの作品はこの本には載っていなくて、もっとエグかった)。載っている15作品は1968年から78年(昭和43〜53年)のもので、ほとんどの作品が殺人を扱っていて結末も暗いのはやはり拳銃所持で逮捕された影響なのだろうか。ペンのタッチが時と共に変わっていくのを知るのも面白い。
漫画を描くしか能のない中学生の竜太郎、冷酷非道な極悪犯罪者エルケーニッヒ・ダンガー、そして、ジョンという名の幼児が、最古の宇宙生命体アルゴールにより、人間の全潜在力を解放され超人になる。
アルゴールは、3人に、その力を好きに使ってよいことを保証するが、これが即ち、人類の運命を決めることとなる。
我々は竜太郎少年と共に、人類のエゴや残忍さといった愚かさ、醜さを見ることになる。この作品を読み終わった時、人類に希望を見出すか、それとも絶望するかは読者次第といったところだ。
尚、この頃の桑田次郎の絵は、後の完成されたシャープさを持つ独特の画風のほんの少し手前のものと思う。しかし、登場人物に味があり、特にエルケーニッヒ・ダンガーは悪の魅力炸裂の印象深いキャラと思う。また、竜太郎がエリートという超人にでもならない限り、ガールフレンドにできなかったろうと思われるジュディが可愛かった。そのジュディの豹変振りはやや残念に思ったのだが、いかがであろうか?
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