途中で登場してくるアメリカ人のおかげで、まぁまぁ読めたなぁというくらい重要。
お遍路さん、というあまりにも地味な題材、しかも決して上手くは無く、今風でもない絵柄…ですが、本作は紛れもなく良作です。
他人に流され易い優柔不断な草食系男子の主人公・太一と、ひょんなことから道連れになった自分勝手でわがままな美女・ハルカ、という2人の珍道中が描かれます。 題材が題材ですから派手さは皆無、大仰な展開とかもありません。描かれているのはお遍路によって生まれる些細な出会いと、それによって生まれる"救い"です。"救い"といっても「アナタは神を信じますか」的な宗教色の強いモノではなく、もっとちょっとした事から生まれる些細な"救い"なのです。もう単純に"癒される"と言ってしまっても良いかもしれません。
この巻での引きこもりの青年もそう、2巻で登場するリチャードの一件にしてもそう…共に誰かと歩く事で、その誰かを見つめ、そして自分を見つめ直す、という流れが、お遍路という題材のおかげか非常にスムーズかつ自然なのですね。
世の中には"癒し系"なんて言われているモノが氾濫していますが、真の意味での"癒し"とは誰かに与えられるものではなく、自らが歩き見つけ出すもの…この作品はそんな事を教えてくれている気がします。
正に「読めば分かる」作品、おススメです。
|