映画なのかミュージカルなのか一時間弱で終わるこの物語は、義経一派が敵方の関所をどう抜け出すかがクライマックスの話。基本的に字幕入れないと何言ってるかわかりません
この作品の最大の特色は短いことだろう。何しろ1時間弱なのだから。
しかし、内容は濃い。弁慶役の大河内傅次郎の1人舞台といってもおかしくない構成だが、森雅之、志村喬といった達者な俳優が脇を固めている。特に弁慶と富樫(藤田進)の問答の場面は言葉の真剣勝負のテンションの高さに唸る。義経主従とわかっていても関所を通す富樫は情があって惚れ惚れする。
そしてエノケンの起用。トリックスター的な役回りを十分果たしており、喜劇役者は芝居上手という定説の正しさのよい見本だ。
後の蜘蛛巣城や隠し砦の三悪人にも引き継がれたコーラスの使用のアイデアが早くも本作で活かされているのが興味深い。
45年製作なのにGHQの方針で52年まで公開が遅れたいわくつきの作品。検閲のばかばかしさを示す好例だ。
跳ねること、飛ぶことを客に「見せる」のでした。
したがって、小兵の勇が「形」になり、映像に記録されました。
邦画随一です。
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