いささかつかみ所のない女の子を好きになってしまった、平凡な主人公。 彼女が交際の条件としたのは、ゲームセンターにあるピンボールゲーム の超人的なハイスコアを抜くことだった・・・。 ありそうでなさそうなお話ですが、全身全霊で努力する主人公・・・。 いつしか二人の関係は・・・。
つかみどころがなく、飄々としている不思議な雰囲気のヒロインや極限の 集中力を発揮する主人公の描写もGOOD。 読後感のさわやかさもすばらしい。 ピンボールは作者の趣味らしいが、取材を兼ねて本当にシカゴまで行くほ どの凝りようなので、プレイに関する含蓄も面白い。 「ラブロマ」や「友だち100人できるかな」のような個性的な秀作を 連発しているとよ田みのるらしい素朴な魅力がつまった作品。
なお、余談ながら当作品を読んで、実際ピンボールをやりたくなったものの、 近隣のゲーセンでピンボール機を置いてあるところは激減しており、ゲー センそのものの数も減少しているようである。かってはデパートの屋上や 遊園地、温泉旅館などどこにでもあったのだが・・・。 アメリカの国民的遊技もテレビゲームの普及とともに老舗メーカーは次々に 廃業を余儀なくされ、新品を製造しているのは僅か一社のみだという・・・。 とよ田作品のなかではいちばん続編が読みたい作品であります。
この短編集では五作品が収録されていますが、どれも素晴らしい出来です。そのうち二作品は連載用として考えていたらしく、結局ボツになったそうですが、続きが読みたくなるようなお話でした。表題にもある「CATCH&THROW」は作者本人も言っているようにとよ田みのる総決算のような作品で、実に心洗われるストーリーでした。よしづきくみち氏とのネーム交換による合作も面白かったです。大満足の短編集でした。ファンの方はもちろん、まだとよ田さんの作品を読んだことがないという方にもオススメの一冊です。
故郷の広島に里帰りしたタケヲちゃん。 おばあちゃんへの気持ちを吐露したことで、再び家族の絆が結びつき両親は彼女に帰省を促します。
妖怪たちとの宴の中、おばあちゃんがタケヲちゃんに言った言葉がとても心に染みます。 相手を強く思いやった時、何よりも自身を大切にして生きて欲しいと思うけれど、 多分タケヲちゃんのような人にとって『わがままに生きる』ってことは、ただ傍若無人に生きることとは 違うのでしょう。
誰かのために意思を通すことで、自身も救われるタイプの人間って確かにいて。 …埋もれがちだけど。 表面的に思われがちだけど。
でも、そんな人物像をただまっすぐ描写してくれたことがとても嬉しい。 そしてそんな陰りのない純粋さと強さが、どれだけ人を惹きつけるか知っています。
タケヲちゃんには幸せになって貰いたいなぁ。
個人的に1巻の時から、坊主のツノの生えたおじいちゃんは一体誰なんだろうと気になっていたので、 河伯さんがフィーチャーされた第17夜がとてもお気に入りです。
後半、意外な新キャラクター達が加わって(短編集を読んだことのある人には、見覚えのある女の子も出てきます) 次巻も賑やかな雰囲気になりそうで楽しみです。 全然頭に無かったけど、そういえば彼らも妖怪ですよね!
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