このシリーズも本編だけでも50巻を超えました。毎回毎回素晴らしいミステリーの短編が紹介され、非常に楽しみなアンソロジーになっています。今回も、粒ぞろいの10作品が所収されています。
「ラストドロー」(石田衣良)「蕩尽に関する一考察」(有栖川有栖)「招霊」(井上夢人)「盗まれた手紙」(法月綸太郎)「瑠璃の契り」(北森鴻)「死者恋」(朱川湊人)「絵の中で溺れた男」(柄刀一)「走る目覚まし時計の問題」(松尾由美)「神国崩壊」(獅子宮敏彦)「Y駅発深夜バス」(青木知己)
どの作品を取っても本格ミステリーの楽しさを満喫させてくれます。 個人的には、「瑠璃の契り」の雰囲気が大好きです。 「蕩尽に関する一考察」「走る目覚まし時計の問題」の犯罪ではない軽さもいいです。 どの作品を取っても実に印象的な作品ばかりでした。
うーん、なぜこの表紙にした…と思ってしまう本書だが内容は非常に良い。日本では経済学的知見に基づいて経済について書かれた本が少ないという大変残念な現状にあるが、本書は経済学を専門とする著者により書かれており、教科書と真逆の事が書かれていて度肝を抜かれたりはしない。安心して読んでほしい。また、左派的視点から書かれたマクロ経済に関する内容となっており、その点でも珍しいと言えるが、じつはこれは少しばかり変なのである。というのは通常左派というのは政府による積極的な金融・財政政策により完全雇用を目指そうとするものだからだ。「え?完全雇用?そんなの無理でしょ?」と思われた方は是非本書を読んでみてほしい。データに照らしながら述べられた議論は前提知識を必要としない書き方がされており経済学に馴染みのない方にも分かるよう書かれいるように思える。データについても失業率や平均賃金などをフォーカスしており、今まさに不況に苦しむ庶民のための本であると言えるだろう。時節柄も含め強くおすすめする意味で星5つとしたい。
|