『死者の奢り』 『他人の足』 『飼育』(第39回芥川賞) 『人間の羊』 『不意の唖』 『戦いの今日』 の六篇に江藤淳の解説を加えた短篇集である。
全篇に共通して「ふとした弾みで同じ空間に放り込まれた者同士の諍い」 「立ち止まって沈思黙考することのない文体」「気持ち悪くなるような生々しい肉体描写」が採用されている。 この作家は性器のことを「セクス」と呼ぶのを好むらしい。
小難しいことを考えてウンウン唸る訳でもなく、文体や描写がそのまま思想となっているように感じられる。 人間の動きを滞らせずにグイグイ突き進ませる作風は、平成の今でも、新しい文学的可能性に見えると思う。
2作目は始めの曲、だぶっているのが残念な所だがヴァイオリンが加わることによって大幅に音楽性が向上している。
CDラジカセやミニコンポで聞くより是非本格的コンポで聞くべき作品だ。
死・暴力が画面に溢れているにも関わらず、セピア風の色調のせいでしょうか 妙に悲壮感が漂わない且つ突き詰められたリアリズムになっています。 (そういえばシンドラーのリストも白黒でしたね) ユダヤ人問題や収容所を扱う映画の中では1,2位を争う出来だと思います。 他に思いつくのは シンドラーのリスト スペシャル・エディション [DVD](ドイツのユダヤ人) 戦場のピアニスト [DVD](ポーランドのユダヤ人、ワルシャワ蜂起) アップライジング [DVD](ポーランドのユダヤ人、ワルシャワ・ゲットー蜂起) 黄色い星の子供たち [DVD](パリのユダヤ人) 縞模様のパジャマの少年 [DVD] ヒトラーの贋札 [DVD] ミケランジェロの暗号 [DVD] などでしょうか。
ただ、本題と関係無い所で一つ。ハンガリー出身のユダヤ人を扱う映画を観るのは今回が 始めてだったのですが、どうも逮捕や街の様子が他の作品と明らかに異なります。 あまり書くとネタバレになるので書けませんが、その違和感がなんだろう?と鑑賞後10分ほど 引っ掛かって考えていました。 そうです、記憶違いだと申し訳ありませんが、ハンガリーのユダヤ人はちょっと他国と事情が 違う事をようやく思い出しました。 確か、フォン・ノイマンの生涯 (朝日選書)あたりで読んだんだと思います。 あの微妙な違和感は、そうした事情をも忠実に再現した結果だと思います。素晴らしい!
失意の底から脱出すべく旅立った主人公とその妻。内に地獄を抱え込んだ弟。すべての登場人物が自分と自分を取り巻く環境に矛盾と閉塞感を感じながら、なすすべなし。そんな中、変化を予感させる事件が起こる。歴史になぞらえたストーリー展開にも引き込まれたが、圧巻は描写のすばらしさ。クライマックスシーンでは発砲される銃の音が聞こえてくるほどだった。
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