ストローブ=ユイレの作品が続々とDVD化されているわけですが、驚きとともに感激もしています。 紀伊國屋という会社はすごいなぁって。
それで、プリントですが、これもまた非常に良い。 この作品はモノクロですが、すごく滑らかな映像で文句のつけようがありません。 ストローブ=ユイレのシリーズは全て満足のいくクォリティのプリントなので、見るたびに感心します。 それに、付属するブックレット、これがまた素晴らしい。 詳細にデータをまとめあげていて、一冊の本ですよ、これは。 一読の価値があります。 やっぱり紀伊國屋はすごい…(私は別に紀伊國屋の社員ではありません)。
シェーンベルクの歌劇を映像化したものだそうで。 この歌劇自体が上演されることは非常に機会が少ないらしく、なおかつストローブ=ユイレの作品もこれまで映像化されていなかったわけで。 当然私はこのDVDで初体験でした。
見てみて驚きました。 強靭な映像で。 とんでもない緊張感で最初から最後まで一気に見せます。 プリントのせいもあるかもしれませんが、すばらしく美しいモノクロ映像。 歌劇を「見詰める」視線が息苦しくもあるくらいです。 まさに全てに狂いがない感じ。
ストローブ=ユイレは、基本的に(役者的に)素人を使い、徹底的にリハーサルをして撮影に臨むそうです。 そこで厳格な画面構成も決まってくるんでしょう。 (そういえば、ブレッソンも素人を使いました。ストローブ=ユイレはブレッソンと小津と溝口を敬愛していたそうです。フレーミングは小津の影響が感じられるでしょうか)。 当然、カメラの位置から光のあてかたまで、完全に把握して撮影しているに違いありません。
そうです、そうなんです、全てがきっちりと計算されていて、妥協を許さない空気が流れています。 見るほうにも何か覚悟を決めることを要求するような空気。
この緊張感あふれる心地よい映像世界、体験してみて欲しいと思います。 ただ、普通の映画をリラックスして見る様にはならないので注意が必要ですけど。
ユイレが06年になくなりました。 もう新作が見ることができないのですね。 残念です。
再発と聞いたとき、マスターが発見されたのかと歓喜しましたが、情報ではマスターでなく盤起こしとのことでちょっと残念。やはりノイズと音のエッジが立ってないのが気になります。ともあれ、名盤はやはり名盤。このメンツで悪かろうはずがない。歌もので叩くガッドのリズム感はもう神がかり(長生きして下さい)
少年の頃から怪奇映画が好きだった筆者は、真にゾッとするのは、血が飛び散ったり人体が損壊される映像そのものを見せられる事よりも、目に見えない気配、を感じさせる映画である。そうしていくと、「怖い」と思う映画はオカルトが多い事に気づく。 『サスペリア・ナイトメア』は、ムードで見せる「怖さ」においては極上の知られざる傑作である。
孤島の修道院にやって来たエリザベス(ルイーズ・ソルター)。そこは、亡くなった父が生前、なぜか献金を続けていたのである。7歳までの記憶がすっぽり抜け落ちているエリザベスは、この土地が自分の過去と関わっていると考えていた。そして修道院に滞在したその日の夜、彼女は早くも恐ろしいものを見てしまう・・・!しかし、島から逃げ出そうにも、船が来るのは週に1回。得体の知れない夢と幻覚に襲われながら、エリザベスは何かに誘われるように修道院の地下に降りてゆく・・・そこで彼女を待つものは。
この映画の何が凄いのかと言うと、「水がしたたり落ちる」だけで怖い。怖いのだ。嘘だと思うのならぜひ観てほしい。これはイタリア映画だが、英語のタイトルは『Dark Water』。アメリカでこの映画を配給した担当者も、「水が怖い」と感じたに違いないのだ。 窓ガラスを、石づくりの壁を、そしてキリスト像の上からしたたり落ちる水・・・。他にも印象的なのは、ろうそくの炎。地下道に点された、無数のろうそくの炎のゆらめき・・・「したたる」「ゆらめく」水や炎といったエレメントを使って、人間の根源的な恐怖心に訴えかけてくる演出が秀逸なのである。 もうひとつの怖さは「盲目」。この映画には盲いた人物が多数出てくる。盲いた尼僧長。地下室には盲いた画家。盲いた人々が描かれたフレスコ画・・・。浜辺で一心不乱に刺繍をする老婆も盲いていた・・・。 「お帰り、エリザベス・・・」 魚の死骸で埋め尽くされた浜辺。炎に包まれた十字架。血にまみれた幼な児。その邪悪な微笑み。 赤子の泣き声に、得体の知れない獣の呻き声が重なり、エリザベスは封印された記憶の深遠へと墜ちてゆく・・・。
本作は、ローマ国際ファンタスティック映画祭で、「ヴィンセント・プライス特別賞」を受賞。「心を掻き乱す映画。恐ろしい!」「この鮮烈で野蛮なイマジネーションにブラム・ストーカーも嫉妬するだろう」「ゴシック映画ファンをも満足させ歓喜させるホラーの傑作」とマスコミもこぞって絶賛。 監督のマリアノ・バイノの作品は、残念ながらこの1作以外は日本には紹介されていない。その後の、そして現在の活躍が最も知りたいホラー映画の監督だ。「映画秘宝」にはぜひこの監督を強力特集してほしい。そしてDVD化による普及ももちろん、だ!
少年の頃から怪奇映画が好きだった筆者は、真にゾッとするのは、血が飛び散ったり人体が損壊される映像そのものを見せられる事よりも、目に見えない気配、を感じさせる映画である。そうしていくと、「怖い」と思う映画はオカルトが多い事に気づく。 『サスペリア・ナイトメア』は、ムードで見せる「怖さ」においては極上の知られざる傑作である。
孤島の修道院にやって来たエリザベス(ルイーズ・ソルター)。そこは、亡くなった父が生前、なぜか献金を続けていたのである。7歳までの記憶がすっぽり抜け落ちているエリザベスは、この土地が自分の過去と関わっていると考えていた。そして修道院に滞在したその日の夜、彼女は早くも恐ろしいものを見てしまう・・・!しかし、島から逃げ出そうにも、船が来るのは週に1回。得体の知れない夢と幻覚に襲われながら、エリザベスは何かに誘われるように修道院の地下に降りてゆく・・・そこで彼女を待つものは。
この映画の何が凄いのかと言うと、「水がしたたり落ちる」だけで怖い。怖いのだ。嘘だと思うのならぜひ観てほしい。これはイタリア映画だが、英語のタイトルは『Dark Water』。アメリカでこの映画を配給した担当者も、「水が怖い」と感じたに違いないのだ。 窓ガラスを、石づくりの壁を、そしてキリスト像の上からしたたり落ちる水・・・。他にも印象的なのは、ろうそくの炎。地下道に点された、無数のろうそくの炎のゆらめき・・・「したたる」「ゆらめく」水や炎といったエレメントを使って、人間の根源的な恐怖心に訴えかけてくる演出が秀逸なのである。 もうひとつの怖さは「盲目」。この映画には盲いた人物が多数出てくる。盲いた尼僧長。地下室には盲いた画家。盲いた人々が描かれたフレスコ画・・・。浜辺で一心不乱に刺繍をする老婆も盲いていた・・・。 「お帰り、エリザベス・・・」 魚の死骸で埋め尽くされた浜辺。炎に包まれた十字架。血にまみれた幼な児。その邪悪な微笑み。 赤子の泣き声に、得体の知れない獣の呻き声が重なり、エリザベスは封印された記憶の深遠へと墜ちてゆく・・・。
本作は、ローマ国際ファンタスティック映画祭で、「ヴィンセント・プライス特別賞」を受賞。「心を掻き乱す映画。恐ろしい!」「この鮮烈で野蛮なイマジネーションにブラム・ストーカーも嫉妬するだろう」「ゴシック映画ファンをも満足させ歓喜させるホラーの傑作」とマスコミもこぞって絶賛。 監督のマリアノ・バイノの作品は、残念ながらこの1作以外は日本には紹介されていない。その後の、そして現在の活躍が最も知りたいホラー映画の監督だ。「映画秘宝」にはぜひこの監督を強力特集してほしい。そしてDVD化による普及ももちろん、だ!
家庭内に充満する有害化学物質の情報源としてWWFのバックアップで出版された書物らしい。 全体を概観するには完全にカバーしているという印象はない。 対策は自然素材と言う主張も単純過ぎて迫力に欠ける。 塩ビ壁紙に代わるものにポリオレフィン壁紙があり、塩ビや塩化ビニリデン(サラン)ラップに代わるポリエチレンラップなどがありこの種の情報も提供すべきである。 医療関連では塩ビ系の素材を今でも使用しているとの記述があるが、本当とは思えない(ベトナム戦争の頃、輸血トラブルで日米で問題となり、輸血用の軟質塩ビチューブの可塑剤が原因と特定され、以後は塩ビ系は禁止のはず)。 新車の匂いなど、素人には大変に興味ある話題で、もう少し迫力のある記述が出来なかったものか残念である。 翻訳を担当した日本WWFも日本独自の情報を追加すべきであった。
環境重視のPRをしている旭化成がいまだにサランラップを市販している姿勢は理解できない。小さい文字で「食品を直接ラップさいないこと」のような表示はしているがそれで済む問題ではない。 危険な塩ビ製品は日本が一番普及している気がする。プラスチック袋(ポリ袋)を総てビニール袋と言うのも日本特有の現象(アニタ・シュリーブの小説で「魚をポリ袋に入れた」という原文を「ビニール袋に入れた」と翻訳してあった)、恐るべし塩ビ公害(悪者は20−30%添加されている可塑剤フタル酸エステル)。
|