17世紀のフェルメールを巡る生々しい生活の細やかなヒダを 繊細に、かつ鮮やかに描き出した傑作です。
私はラッキーなことに、以前、スカーレット・ヨハンソン主演の名作の 映画も鑑賞しましたし、その後、フェルメール研究の第一人者、小林頼子氏 や朽木ゆり子氏の著作や画集を読む機会に恵まれ、本書を読むための イメージの準備は万端でした。
まあ、小説を読む際に、既存のイメージがあったほうがいいのか、 自由な想像力でイメージしながら読むのがいいのか、いづれの場合も あると思います。私の場合は、イメージが鮮明だったおかげで、本作の 場面場面、描写、登場人物や関係、17世紀のデルフトの庶民生活の さまが、脳裏に鮮やかに浮かぶような気がして、この上なく堪能できました。
架空の女中の娘フリートが、名作『真珠の耳飾の少女』のモデル であった、という着想、それに、彼女が盲目の父親のために、モノを元通り にして掃除ができた、その才能のために、フェルメール家の女中にして、 フェルメールのアトリエに入ることを許された、という話は、まことに見事 な設定としかいいようがない。
登場する作品の描写、親交があった科学者レーウェンフックと、カメラ・ オブスキュアの驚異に触れる当時の人々の反応、など、虚実を見事に おりまぜて、その当時、そのときを生き生きと描いたロマンは 現実を忘れてしまいそうなほど堪能できます。
フェルメールその人を直接には描かずに、彼を影法師のように使って、 今はなき、古き時代の庶民と生活、人生を眼前に登場させたすばらしい 恋愛小説です。主人公の少女はフェルメール亡き後も、しっかりと地に 足をつけてピーターへの二面性をたくみに見せつつ、しっかりと生きていく そんな雰囲気で終わるラストは白眉です。
2008年8月 "ぜひBDで出してほしいタイトル" に投稿して5年がたちました。即購入、鑑賞しました。
あらためて観て、主人公の彼女が 掃除の許しを請うさいに「光が変わります」といった一言、雲の色を問われたときの一言や、椅子をずらして絵が完成するストーリーにドキッとしましたね。イヤリングが描けず未完成の 「真珠の耳飾りの少女」を見せられた彼女の一言にも。 昨年、その絵が日本に来て何度も会いに行きました。観るたびに 「何を言おうとしてるの?何を言いたいの?」 そう思ったことを思い出します。
スカーレット・ヨハンソン 若い彼女の名演あっての一品ですね。
ただ、思い入れが強かったせいか画像が今一つ荒く見えたのが気になりました。
単純にこの絵が好きで買いました。外枠を組んだ後人物に取り掛かりましたが、これが意外に難しい。 目にする分には至高の名作ですが、これがパズルのピースになると超難物です。上着の部分だと思っていたら 顔の影だったり、顔ピースだと思ったらターバンだった、なんて事がしょっちゅうでした。
この間に、ネットで「難しいパズルの取り組み方」のようなものを探したんですが、結局最後に頼れるのは 「根気」のようでした。そんなことで一念発起し、残った部分は総当たり(つまり片っ端から嵌めてみる)で ひたすら黒いピースを片付けました。今この少女は無事寝室の壁に陣取り毎朝私に微笑んでくれています。
・・キモい感想はともかく、これからこの作品に取り組む方の為に作業手順(注意点?)を提示したいと 思います。あまり要領のいいものではありませんが、参考になれば幸いです。
1.外枠:これは特に問題ないと思います。 2.人物:青ターバン→顔→襟→服 をおすすめします。似たような色が多いので、これはこの部分だとあまり 決めてかからないほうがいいです 3.背景:黒いピースばかりです。まず変形ピース(凸ばかり等特徴的なやつ)だけ集め、合いそうな所に 当てはめていく。とはいえ一気に変形ピースばかり片付きません。ある程度片付いたら一旦休止して 心身ともに充実している時に残りを総当たりで片付ける。
最後に余談ですが、最近ではピースの裏にマークが印刷されているものがあるようです。 (上段●、中段▲、下段■という具合です)これがこの作品にもあったらなあ、とつくづく思います。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
映像の中に光影が強弱を帯び巧に交差する美しい映像です! もしもフェルメールが生きていて、映画監督という職業であったなら、このような作品を残していただろうと思わせます。 絵が実写化されたかのように。。。
フェルメールは、”カメラオブスキュラ”という写真機の原型の様な器を使用し、レンズを通して被写体を見るという何とも変わった描法だったのですが、その意図は、正確な遠近法によって描写がなされるということでした。 彼は中世17世紀の当時で未だカメラも無い時代にこのような画法を確立していたのです。 ですから、フェルメールは絵画家というより、レンズを用いる写真家として評価する識者も多く、本作品の映像から連想されることは、「もしもフェルメールが映画を撮ったなら」というファクターも含まれているのかのしれませんね。
コリン・ファースとスカーレット・ヨハンソンの微妙な関係が歯痒くなるほどに見入ってしまいました。 映像からアロマティックな酔いを感じます。 スカーレットのあどけなさが残る小さな息づかいが魅力的で良かったです。
最近で一番魅入ってしまった作品でした。。。
映画で鑑賞させてもらっているときに この音楽以外にぴったりな音はナイ-♪ なんて 秘かに心の中で呟いていました。 音楽が映像に合っているのは お聴き、ご覧のとおり-☆
ALEXANDRE DESPLAT (アレクサンドル・デプラ)が 鑑賞する方にも内面を優しく辿らせてくれるのに気持ちをまかせる〜 のも得がたいひとときになることでしょう!!
※ 17世紀 オランダを代表する画家フェルメールが描いた名画 『真珠の耳飾りの少女』通称『青いターバンの少女』を 1999年に小説化されたものから イギリスTV界の演出家ピーター・ウェーバーが監督した映画の サウンドトラック。
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