Amazon Vine 先取りプログラム メンバーによるカスタマーレビュー (詳しくはこちら)
著者は2001年に「BRICs」の略称を考案した張本人。10年が経った今、著者自らこのキーワードについて振り返り、世界経済の構造変化について冷静に見てみよう、という内容。
BRICsを入口とした「世界経済」入門、世界経済読み物。「BRICsの次に来る国はここ!」という内容だろうと思っていたが、実際に読んでみるとちょっと違った。BRICs経済が何故伸びると思ったのか、一国の経済を成長させるために克服しなければならない課題とは何か、等から語り始め、世界の経済構造がどのように変わってきているのか、それに相応しい経済協力や国際関係、基軸通貨のあり方はどのようなものであるべきか、と議論を進めていく。常に冷静で中立的な視点と語り口が保たれており、一般向けに書かれた本だが、(良い意味で)学者さんの書いた本のような雰囲気。翻訳された文章も平易で読みやすいと思う(ただし、シビアに読もうとするとやや不正確な印象も)。
著者のアイデアは単純明快で、一国の潜在的な経済力は、労働人口の規模とその生産性で決まる、という。BRICsに次ぐ潜在力をもつ11カ国(ネクスト・イレブン)については第4章で述べられているが、本書全体として見ると記述量はごくわずか。この部分を期待して本書を手に取った読者は肩透かしを喰らうことになるだろう。
想定読者として主にヨーロッパの読者を考えているようだ。ヨーロッパでは「BRICsの台頭は脅威以外の何ものでもない」と捉えている人が多いようで、そのためなのか、「世界経済はゼロサムゲームではない」「BRICsの成長は世界中の誰にとっても恩恵をもたらす」と繰り返し強調している。
著者は非常に楽観的な自由貿易主義の信奉者に見える。それが余りにも徹底していて清々しいほどだが、グローバリゼーション反対派や自由貿易懐疑派の著者による同じテーマの本と読み比べてみると、より多面的な視野が得られるかと思う。
日本では震災があり、タイでは洪水があり
中国ではひたひたと人件費が上がっている。
そういった環境の中で、まだまだ安く若い労働力と
なにより2億人を超える巨大な内需で注目されている
インドネシアの最新経済事情本。
新書サイズでは限界があり、進出を目指す方々に
必要な事項全てが語りつくされているわけではない。
しかし概要を2時間で掴むには現状では最適な一冊であり
最近冷遇されているらしい、経済テクノクラートに
かける愛(!)が何故か深く深く感じられる。