原作 浅田 次朗と マンガ家 ながやす功のタッグの最高作品です。
人情物を良く描いているながやす功ですが、鉄道員での描写は見事!の一言につきます。
自分の子供が死んだ時の回想シーンや、最後のキハの描写には泣けました。
ラブレターも短編作品ですが、偽装結婚ながら白蘭からのラブレターの一途さと吾郎の受け止め方にも一見の価値があります。
好きで映画、テレビ、小説とどれも見ました。字数制限や放送時間に制限がないためでしょうが、他の媒体に比べ非常に丁寧に細かく描写されています。オリジナルの小説以上にいろいろな場面の描写や時代背景の追加がなされており、基本的な話の流れを知っている私でも楽しむことが出来ました。
子供の頃、助けてもらった誠に愛が恩返しをしようとする話。 誠は非行に走っているので、愛の苦労は並大抵ではない。 愛のしつこい善意もすごいが、がんとして受け付けようとせず、さらに苦労をかける誠もすごい。岩清水君は愛に「君のためなら死ねる」とまで言って、ひたすら愛に尽くす。 男も女も、愛した方が、尽くす、少女漫画のようなお話ですが、れっきとした少年漫画です。
魅せる作品。
作品としては最高です。
# 原作を知っていても安心して読み進めるでしょう。
1巻、2巻で第一章として、終わっているので、
一先ず安心ですが、筆が遅い方のようなので、いつ完結するのやら。
それだけが心配です。
『愛と誠』『Dr.クマひげ』『壬生義士伝』で知られる漫画家・ながやす巧!
ながやす巧氏といえば、緻密な人物・風景描写に定評があり、その作風に影響を与えた漫画家は少なくなく(初期のあだち充や秋本治のタッチにも少なからず氏の影響が伺える)、何よりもアシスタントを使わずに全てを自分の手で描きあげる完全主義者の漫画家である。 今回は画業45周年(2008年現在)を迎えたながやす氏の短編集が収録された内容となっている。
・ 中国で行われているという死者との形だけの婚礼という不思議な慣わしを描いた『幽婚』〈1991、原作:市川森一〉 ・ 廃線を間近にした北海道ローカル線の終着駅で定年間近を迎えた謹厳実直な駅長に訪れる心を揺さぶる“やさしい奇蹟"の物語を描いた『鉄道員(ぽっぽや)』〈1999、原作:浅田次郎〉 ・ かつて世界に挑んだ事もある落ちぶれた日本チャンピオンの中年ボクサーが再起を賭け、新進気鋭のボクサーに挑む姿を描いた『チャンピオン』〈1984、原作:史村翔〉 ・ 故郷(北海道・襟裳岬)を捨て、都会(東京)へ出た男女の悲しく儚い恋愛ドラマを描いた『その人は昔』〈1971、原作:松山善三〉
『幽婚』は、“起承転結”でいうと“転結”の抜けた消化不良のような内容だった。後に役所広司主演でドラマ化(1998・9・5放送)され、芸術祭優秀賞ほか数々の賞に輝いたそうだが、ドラマはどうなのか見てみたいものだ。 『チャンピオン』は、ありきたりといっては失礼だが、まずまずの印象だった。
『鉄道員(ぽっぽや)』は最も特筆すべき作品だろう。原作者の浅田次郎氏が絶賛されるのも頷けるし、私も久しぶりに読んでみたが、ながやす氏の類まれなる画力並びに表現力によって原作の世界観を踏襲し、見事に再現(もしくは映画をも凌駕した)しており、また、ながやす氏の描く暖かみのある人物像や構成力によって物語にグイグイ引きこまれていき、読後感としては何かしら余韻の残る印象を受けた(『チャンピオン』よりもこちら(と『その人は昔』)の方を完全カラーで再現して欲しかった)。
『その人は昔』は『愛と誠』以前(メジャーになる前)の作品であり、元は1966年当時トップアイドルだった舟木一夫氏のヒット曲を基に映画化〈1967年公開、監督:松山善三、主演:舟木一夫、内藤洋子〉された作品(内容もミュージカル的な要素があり、現在の『愛と誠』に通じるものがある)である。 ただ内容的には、都会(東京)=冷たいというロジックで描かれている事に読んでいて些か抵抗があり、都会の生活に染まりながら次第に変わっていく二人の過程やクライマックスのヒロインが取る行動にも不可解なものがあるし、おそらく『鉄道員(ぽっぽや)』の頃に描かれた方が表現的にももっと違った(もしくは纏まった)作品になるのだろうが(それでも当時のながやす氏の画風は完成された現在よりも惹かれるものがあるのだが)。
浅田次郎原作『ラブ・レター』が収録されていなかったのは残念だが、現在も『壬生義士伝』を描き、漫画に対する姿勢を変えず、終始一貫して描き続けるながやす巧先生に敬意を表したい。
追記…現在もなお一人で描き続けるながやす先生には、是非ともお身体には十分気をつけて頂きたいものだ。
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