フリードマンの「フラット化する世界」「レクサスとオリーブの木」を意識しています。フリードマンが「グローバル化は津波のようにおしよせ防ぎようがない」と説くのに対して、著者は「いやいや、グローバル化はセミグローバル化というリンボーな状態で、これが長い間続くよ」という主張です。例として、マックの羊バーガーであったり、トヨタのローカル車、コカコーラ社のジョージアコーヒー、韓国アモーレパシフィック社の美白化粧品などをあげています。
フリードマンはジャーナリストですので、自説をサポートするために、取材先の出来事や新聞記事を多用していました。そのため、根拠は主観的です。反面、ゲマワットは学者ですので、根拠は統計です。このため、説得力はフリードマン氏の著書を上回ります(しかし、エンターテイメント性はフリードマンが高いです)。
グローバル化を阻む要因を「文化」「制度」「地理」「経済的」な隔たりと定義し、ひとつひとつを丁寧に説明してくれます。また、グローバル化を促進するためのチップとして、「AAA」Adaptation, Aggregation, Arbitrageに分け、成功企業がなぜグローバル化でき、できない企業はなぜかを分析しています。
教科書のような本ですが、分かりやすくするための工夫がいたるところに見えます。タイトルも原著名が「Redefining global strategy」ですし、章のタイトルも「Adjusting to difference」が「インドのマクドナルドには羊バーガーがある」と訳しています。出版社にも賞賛を送りたいです。
子供の頃に見たモノクロのCMから近年のものまで、涙しながら見ました。
昔のCMには今のものになく続き物ではない深いストーリーがあります。
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