出版を知り一刻も早く読みたかったので、早速送っていただき、うれしかったです。
本書は一話完結のストーリーだと思う。ラストがそうだったから・・・
鳴沢シリーズの出来がよかったので、本書を読んでみたが、ラストは後味が悪いものだった。出来は平凡だと思う。次回作に期待する。
元新聞記者が、「こんな内情を書いたら売れるだろうな」と思いつつ書き記した小説だと思いました。新聞社をはじめ、雑誌、テレビの内情がこれでもかと語られます。また、新聞社内でも部内抗争、出世争いなど、中にいたものならではのリアルさをもって語られています。 ただ、小説の完成度としてはどうなんでしょう、と疑問を持ちました。冒頭からのテーゼに基づいてストーリーは進行しますが、遅々としていると言うか、内部の話に固執過ぎて、「早く話進めてよ」という気にさせます。ジョン・グリシャムによる巨大弁護士事務所の内幕披露で読者を魅了させるのとはちょっと違いましたね。 勝手ながら、上山教授を「手鏡王子」にダブらせて読んでいました。そうすると、ぴたりとはまるキャラでした。それ以外の、長妻君にしても、市川先輩にしても、仕事を離れたらいったいどんな人なのか、キャラが見えなかったのは残念です。 それと、恋人との関係を仕事に忙殺されてないがしろにしていながら、当然最後には別れが待ち構えていると思いきや、そうでない設定には男性筆者ならではのリアリティーのなさを感じました。 テーゼとしては興味深いものの、キャラの作り込み、男性視線が邪魔をして、今一歩惜しい作品となっていました。
鳴沢シリーズの第7弾です。
3作目『熱欲』で鳴沢の前に姿を現した、鳴沢の親友である七海と妹優美の両親の仇であるチャイニーズ・マフィアのトミー・ワンと再び衝突します。
アメリカのホームドラマでブレイクし、売れっ子となってしまった優美の息子勇樹がトミー・ワン一味によって誘拐されてしまいます。自分の「息子」を自分の手で助け出そうとする鳴沢は、NY市警で研修中の身であるにも関らず、1作目『雪虫』や5作目『帰郷』のときと同様に捜査を無視して暴走してしまいます。
「犯罪者の親族はどんなに肩身の狭い思いをして暮らしているのか?」
「犯罪者の身内も悪人なのか?」
「自分の家族を守るためなら何をしても許されるのか?」
「人間を商品として扱うマスメディアの対応は許されるのか?」
「事件の引き金はなんだったのか?」
この作品では決して簡単には答えられないこれらの疑問や問いがあふれていて、相変わらずエグいラストでした。私には1作目の『雪虫』のラスト(喜美恵との別れ)や、2作目『破弾』のラスト(冴との別れ)が思い出されて切なくなりました…
また、今作でも魅力的な相棒達が登場します。NYでは親友である七海と同僚のミックとジャック、アトランタでは市警に勤める旧友のB・J、マイアミでは探偵であり女好きのホセ。
不器用ながらも真っ直ぐで人を惹きつける鳴沢の魅力は国境を越えても、いやむしろ国境を越えたアメリカだからこそより一層際立っていたように思いました!
なんで1年しか留学していなかった鳴沢が流暢な英語を話せるのかだとか、常に鳴沢たちを翻弄し続けてきたチャイニーズ・マフィア達がなぜ最後の最後にポカをやらかしたのか、といった多少無理のある設定に戸惑いを覚えなくもありませんが、相変わらず魅力的な作品だと思いました!!
堂場瞬一の警視庁追跡捜査係シリーズ。捜査本部が解決できなかった事件を別の視点から捜査し、解決するんですが、当然本部からは煙たがられます。 今回もある2件の殺人事件を半年解決できない本部と、別方面から捜査して解決していきます。 このシリーズの特徴は、冷静な西川と熱血な沖田という刑事の仲がいいのか悪いのか微妙なコンビがそれぞれの特徴を生かして事件を解決に導く所です。 今回はどちらかというと普段冷静な西川が熱くなり、今までとちょっと違った流れです。 堂場作品らしく、一気に最後まで読ませてくれますし、結末も結構いいと思います。 ただ、本来の捜査本部が全然機能せず事件を解決できない様はちょっと強引かもしれません。まあそうしないと話が進まないんですが(笑)。 僕はシリーズ中で一番面白い作品だと思いました。
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