里中満智子の絵は特にうまいというわけではないが、とても分かり易い。天上の虹には登場人物が多くて、しっかり読まないと誰が誰だか分からなくなる。それでもこの人は誰と関係がある人か確かめながら読むと、気がつけば当時の人々の事をとても良く分かる様になり、歴史の本とかを見ていてもこれは誰の娘で誰の妻だ、誰と誰の母だ、と渥美を持って詠む事ができて それはそれは嬉しい! すべての歴史の教科書がこんな感じだったら きっとほとんどの生徒達が歴史を「暗記するもの」としてでなく
「当時生きた人達の記録」として学べるのではないかと思う。この巻では持統天皇の最後の強さが表されている。「上に立つもの」の心構えを自分を敵と憎む子供に対してもはっきりと述べ、生き方に一本通ったものを感じさせる。それでも次の大王を育てる事は難しかったのか。次の巻が待ち遠しい。一年に一巻位なのでなかなか進めないのだけが難点。
美女ヘレネをめぐって、何十年にも展開される有名なトロイア戦争に、神々の策略、人間の知恵、誇り、欲望などが盛り込まれ、勝負よりも、そちらに引き込まれていきます。でもトロイの木馬でよく敵を欺けたもんだと思うのですが・・・さらに、章末にはギリシア神話からうまれた語源などが紹介され、神話が今も現代の生活に息づいているのがわかります。
里中満足智子先生なりの解釈で、内容が凝縮され、読みやすく理解し易く里中ワールドで描かれています。連載有りのようなタイトルですので、愉しみにしております。
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