アメリカのデスメタルの帝王、モービッド・エンジェルの3rd。
メジャーレーベルになっての1作目ということもあり、前作よりも音質も向上しており歴史的名盤だった「BLessed are The Sick」に比べると、どろどろとした雰囲気はやや薄れているが、その分しっかりと演奏を聴かせるという点で、雰囲気ものとしての前作との差別化になっている。
ピート・サンドヴァルのブラストビートに乗る、トレイ・アザトースの独特のギターリフ、そしてデビット・ヴィンセントの咆哮Voは、これぞモービッドエンジェル!という迫力がある。
彼らの認める”正式”な1st。全曲捨て曲なしの名盤といえる作品。スラッシュ・メタルの要素を含んだ内容で、デイヴィット・ヴィンセントの味のあるデス・ヴォイスにピート・サンドバルの超絶的なブラストが炸裂。トレイ・アザトースのギターソロも多少荒削りな感じがしますが、タッピング(ライトハンド)奏法を織り込み、弾きまくっています。ただ単に暴走しまくるデス・メタルとは違い壮厳的で崇高なデス・メタルを展開しています。
一聴した時は、この作品がライブ盤だとは心底思えませんでした。絶対スタジオでオーバーダブしたんじゃないのか、と訝るほどのテクニックとブルータリティが炸裂しているからです。D.ヴィンセントの咆哮は、オリジナルアルバムのそれよりも迫力を増しててよりクールに聴こえますし(特に1stと比較して)、T.アザトースとE.ルータンのツインリードも狂っています。しかしそれら以上に凄まじいのが、P.サンドバルの激烈ドラミングです。タムロールとバスドラの速さ・正確さは世界のあらゆるトップクラスのドラマーと比較しても遜色ないほどではないでしょうか。一度でいいから彼のドラミングを生で見てみたいです。あ、勿論曲もクールですよ。
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