没後31年経ってアンソロジーが出るとは! 彼の偉大さを痛感する。 発売元に感謝します。
カインド・オブ・ブルー以来のジャズ特集ということで久々に購入しました。コルトレーンの特集号かと思ったら、インパルス・レーベル全体の特集だったんですね。これは素晴らしい! これでもかというくらいに情報が盛り込まれています。
まず、伝説のレコーディングエンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーのインタビュー。ヴァン・ゲルダー・スタジオのカラー写真が出ているのですが、綺麗なスタジオに楽器や録音機材が整然と並んでいて、ここで錚々たるプレイヤーが録音に明け暮れていたかと思うと感動です。86歳にして未だ現役のヴァン・ゲルダーも、いかにも職人という感じで渋い!『フォア・フォー・トレーン』のジャケットで、アーチー・シェップとコルトレーンが佇んでいるあの階段も写っている!というか、スタジオの中で撮っていたんだ…知らなかった。面白かったのはヴァン・ゲルダーの「ステレオの音場感で再生する概念がなかった(!)から極端な楽器配置になっている」という発言。悪名高い(?)インパルスのステレオ盤の謎が解き明かされている? RVG刻印の写真がアップで載ってるあたりも、レココレらしいなあ。
藤岡靖洋氏の記事も勉強になりました。公民権運動とコルトレーンの関係について特に考えたことはなかったのですが、激しい人種差別の中での言葉(歌詞)なき主張だったんだと、改めて圧倒されました。ディランやジョーン・バエズのジャケットが載ってるのは「??」という感じでしたが、読んでみて理由が納得できました。
菊地成孔のインタビューも面白かったですね。これを読んで、無性に『アフリカ/ブラス』が聴きたくなりました。色々な部分で本当に凄いアルバムだったんですね。そのセッションをまとめたCDが95年に出ていたことも初耳。
プロデューサーのボブ・シールが「何もしないことが逆に良かった」なんて硬派ジャズ・ファンから揶揄されてたけど、本当に変なオッサンだったってこともよく分かりました(笑)。
アルバム選では、シェップの代表作が『マジック・オブ・ジュジュ』だったりと意表を突かれましたが、インパルスがこんなにまとまって載ってる雑誌は初めて見ました。LPレーベルの変遷のページもレコード屋巡りに役立ちそうです。
作家の山口雅也氏によるソフトロックファン向けのインパルス、湯浅学氏によるサン・ラー等、捨て記事なしの特集で、近年稀に見る力の入れよう。何があったんだ!と思ったら、編集長が替わってたんですね。真っ当なジャズ雑誌が消えてしまった昨今、ジャズの特集もいろいろやってくれないかと期待しています。つうかレココレって元々ジャズ雑誌だったんじゃなかったっけ?
連載では、いつのまにか蒐集奇談が復活していてびっくり。昔とかわらず滅茶苦茶面白かった! SPにはまったく興味ないけど、なぜか語り口に引き込まれるんだよなあ。仕方がない、毎月買うか…。単行本化されるといいんだけど。
作品の内容に関しては今さらいうまでもないのであえて書きません。 今回紙ジャケット、BlueーspecCD2ということで購入しました。このシリーズ、紙ジャケットの作りが非常に良いです。 この「三階建の詩」もオリジナルLPのとおりダブルジャケットをしっかりと再現してくれています。しかしここまでちゃんと作ったのだったら「帯」も当時のLPの帯の再現をしてほしかった。BSCD2の表示とか、いろいろな問題があったから仕方がないのでしょうが、これで☆ひとつマイナス。 どうせならこのシリーズ、風も含めて全タイトル買った人にもれなく復刻帯をプレゼントとかしてくれたもいいんじゃないの?クラウンさん。 今からでも遅くないですよ。検討してください。 2007年度リマスター盤はプラジャケだけど当時のLPの帯を再現してくれているので余計残念としか言いようがありません。
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