元々ずっとお茶が好きで、それなりに詳しい方ですが、 美味しく飲めれば満足で、そこまで専門的な知識は求めていませんでした。 ちょっとした興味で手に取った、この新書サイズのコンパクトな1冊。 情報量は見た目の数倍! その読みやすさ、面白さもあって、これまで手にしたお茶系の本の 中ではピカ1の満足度です。
紅茶だけ、珈琲だけ、といった1ジャンルだけの本は多数出ていますが、 この本は珈琲、紅茶、中国茶、日本茶、ハーブと、 お茶として飲まれるかなりの広範囲を網羅。 けれど決して情報が薄くなることなく、ひとつひとつをわかりやすい表現や 分類でしっかり記述しています。 そして、難しく(面白くなく)なりがちの専門領域の説明を、 お茶を飲むときに、より興味を持って楽しく味わえるような表現として書かれているのが嬉しい。 辞書的な様相を呈していますが、 書き手の方自身がとてもお茶を好きで大切に思っているからこその表現かなと思います。
お茶好きなら、ぜひ手元に置いてときどきめくってみたい一冊。 電子書籍などでスマートフォンなんかで持ち歩いてカフェで見れたりしたら 理想的。
俊雄の恋愛は事実であった。疑惑の中で耐え続けた妻ミホ。 「苦しめたくないのに苦しめてしまう」女を演じるのは松阪慶子、苦しめられる男を演じるのは岸本一徳。 勝手にわいてくる疑惑。愛と責め、男と女。太平洋戦争のまっただ中であった二人。特攻隊島尾中尉殿は出撃命令が下されなかった。ミホの感情の変化は激しい。言葉は棘として突き刺さる。問いつめる女。こたえる男。二人をみつつ育つ子ども二人。小康状態。年始の挨拶。様式化されている新年の儀式。ぼくはこのような様式を求めてきたのか。「お母さんの田舎に帰ろう」と男は子どもたちに語る。場所は奄美大島に移る。 大学病院を受診する、入院する。 帰ってくる妻ミホ、うけいれる俊雄、こども二人。 元愛人がきて、追いかけるミホ。近所のものたちが集まってくる。 子どもを奄美の名瀬にあずける、俊雄とミホは入院生活。持続精神療法がはじまる。 1時間55分の作品。原作者の島尾敏雄は69歳ですでに死去していた。
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