戦争が兄の心を壊してしまったのだろうか。そのどこか投げやり的な
生き方は異常とも思える。そんな兄に翻弄される家族。特に弟禮三が
作詞家として売れてから以降は凄まじい。普通の人間ならとっくに
縁を切ってもおかしくない状態なのに、禮三は兄をかばい続ける。
切りたくても切れない。家族とはそういうものなのかもしれないと
思う。だがついに弟が兄を見限る日が来る。そして兄の死。
「兄貴、死んでくれて本当に、本当にありがとう。」
禮三の叫びの中に、深い悲しみを見た。もし戦争がなかったら、平凡な
兄弟でいられたかもしれない。そう思うと、兄の人生が哀れでならな
かった。
食道癌をわずらった著者が、陽子線治療法とういうものがあるのをネットでみつけ、この治療で全快したそのプロセスの一部始終をまとめた本。 陽子線治療法のメカニズムは、水素の原子核を利用したもの。これを加速器にかけると陽子線に物質を透過する力が出てくる。透過している最中、そのエネルギーは小さく、健康な肉体へのダメージは少ない。加速した陽子を癌患部にねらい撃ちし、癌細胞を壊すという方法で治癒する。 「切らないで癌治療」で、日本ではこの本によると7箇所でしか行っていない。陽子線治療の機械は一台80億円し、保険適用されないので患者の自己負担は総額300万円ほどかかる。著者は週に5回、合計30回、6週間、この治療を続けたという。スタッフは7人の医師、15人の技師、4人の医学物理士だったとか。チームは、完治に自信をもち、明るい雰囲気だった。
著者は妻と協力して、この治療法を独自に見つけるまで、いくつかの病院で診断を受けたが、どこもここも「切る」治療のアドバイスしかなかった、しかし、著者は若いころから心臓に病気をもち、このため全身麻酔による通常の手術では耐えられないと判断して、自分で治療法を探した。
ある日突然にがんになったことを知った著者は、カフカの『変身』になぞらえて、その事実を引き受け、その後の、あくまでも切るという医師たちとの堂々めぐりのやりとりは『審判』と同じだと感じ、ロボット化された病院のシステムと、医師たちの対応に接し、『城』を想起した、とある(p.111)。
本書は、小さな本であるが、文中、生まれた満洲のこと、ソ連軍侵攻のおりに目撃した関東軍の姑息な手段などを回顧し、自身が生きぬいてきた力の確認をしつつ、闘病中にさまざまな作家(カフカ、ドストエフスキー、トーマス・マン、カミュ)によって作品のなかに残された言葉が思考の支えになり、考えの裏打ちになったことを告白している、「日ごろ読んだ本の一言一句をどれだけわが事として痛烈に受けとめ、胸に刻み込んだか、それが大事で、それによって私は本当に助けられたと思っている」(p.134)。本書が単なる闘病記と違う、ズシリと重い人生の書になっている所以である。
最近テレビでやってて、ちら見しただけなのですが、映像の美しさと我が小百合様がご出演されてるので、購入を決め ました。この手のビデオは力を込めて見るぞーじゃなく、たまに日本美に回帰したい気分の時、見るものです。
常盤貴子は美人ではあるのだが、色気や存在感が薄いのでTVドラマ向き。『波子』役の女優にはいっその事、高岡早紀の方が自由奔放で映画に深みが出た。
人生の勉強中。知り合いから薦められて購入しました。知り合いは、バイブルにするひとりに一冊あってもいいとまで言わせた一冊です。まだちょっとしか読んでいませんが、字が大きくて読みやすいです。こういう考えもあるのかと思ったり、納得できるなとか色々考えさせられる本です。
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