南米インディオと言えば、インカ帝国の末裔であるペルーのインディオを思い浮かべますが、同種族のインディオはペルーだけでなく、ボリビアやアルゼンチンにも存在するということをこの本で初めて知りました。インカ帝国を築いた人達の末裔が、現代においてどの様に生活しているのかが良く解かる本です。著者のアタウアルパ・ユパンキは「フォルクローレの父」と呼ばれるだけあって、随所に音楽のリズムや楽器の名前が登場します。また、本の中でアルゼンチン北部の自然を感じることができます。牧畜されている動物、近辺に植わっている草や木々。やっと愛し合う若い二人が一緒に住めることになったにも関わらず、男性側の母親がその女性が気に入らず、結局女性の方は家を出て遠く旅立ってしまう、という物語の結末には、嫁・姑の問題は日本のみならず、遠いアルゼンチンにおいても存在するのだな、と感じてしまいました。
私は中学生のときに五木寛之の本・レコードでユパンキと出会った。あれから30年ほどたち、ネット通販でユパンキと再び出会った。早速CDを購入した。日常の疲れで忘れていた、風の音・風の香り、月明かり、土の匂い等等が蘇って来た。中学時代の忘れていた思い出も蘇って来た。仕事が終わり、車に乗り、このCDをかけ、帰宅する。その間、ユパンキの声とギターの音色に身を浸し、一日の疲れをとっている。今流行の「癒し」とは違い、ユパンキの作品の中にある素朴な力が私の活力源となっている。再び聴くことができてとてもウレシイ。
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