シカゴ武闘派の親玉ウルフ。死ぬまで白人におもねることなくシカゴのサウスサイドのクラブで演奏していたウルフ。そのウルフのチェス時代の名曲がLP2枚分収録されて、この値段、絶対買いですよ、もし持ってなかったら。 同じシカゴ武闘派のサニー・ボイと同じく、こわもて、バックが抜群、死ぬまで絶倫、という感じ。このCDはイッシュ順は逆で13~24が最初のLPで1~12が後に出されている。ウルフは(2),(5),(7)等、ディクソンの曲をやっていて、それらが幾分コマーシャルな印象も受けるが、今聞くと結構独創的で強烈な個性を感じさせる。ブルーズの名曲(8)の語りの部分はそのディクソンだったり、また体格も似たものがあり、仲良かったのかな。ウルフのアルバムはたくさんあるが、先ず最低、このCDはマスト。あとメンフィス時代のアルバムと、晩年のアルバムを加えると全体像が見えてくるよ。
いくら日本人のヲタク度が高いからといって、ハウリン・ウルフが1971年チェスから出したオリジナル・アルバムが、未発表テイクてんこ盛りのデラックス・エディション、しかも紙ジャケSHM−CD仕様だと!?
こんなもん売れるんかいな?
しかし、先年発売された紙ジャケSHM−CD仕様ブルースブレイカーズの渋いオリジナル作品群もほとんど品切れみたいだし…日本人はよっぽど「本物志向」なのだろう。
かくいう私も、平均的なブリティッシュ・ロック・ファンに過ぎず、ピーター・グリーンやジョン・メイオールは聴けるが、果たして「本場のモノホンの」ブルース・マンの演奏に耐えることが出来るか、はなはだ心もとなかったのだが…
これが驚くことに、それなりにスンナリ聴けたのである。
コアでディープなブルース・ファンでなくとも、ブルースブレイカーズやグリーンが居た頃のマックが好きな方なら、違和感なく楽しめるでしょう。
原盤ライナーが、当時のレコーディング状況を詳しく描写していてお勉強になります。
それを読むと、ジャケットにでかく記載されているウインウッドのパートは、後からダビングしたらしい。
全曲ではないが、リアルタイムにスタジオでピアノを弾いたのは、6人目のストーン、イアン・スチュアートだ。リズム・セクションはビル・ワイマンとチャーリー・ワッツだし。
そうしてみると、これは、ローリング・ストーンズの「アイドル追っかけ」アルバムとも捉えられる。
リンゴ・スター、クラウス・フォアマンらビートルズ勢も1曲だが参加。また、フィル・アップチャーチの名前も見える。
この間のSHM-CDタイトルを見ると、ジャケットの紙は薄くて値段も税込み2800円と高いものがほとんどだが、本アイテムは。厚紙で米盤A式ダブル・ジャケットを再現。歌詞付内袋&透明シール付属。値段も2枚組で3800円と、かなりお手ごろ感がある。
マニアは売り切れる前に購入しておいたほうがいいでしょう。
マーティン・スコセッシを製作総指揮にむかえたブルース・ムービー・プロジェクトの中の一作です。 この作品がドキュメンタリーとしてその完成度が低いというわけでは決してないのですが、このブルース・ムービー・プロジェクトで制作されているそれぞれの作品は、『レッド・ホワイト・アンド・ブルース』や『フィール・ライク・ゴーイング・ホーム』など、あまりにもその質が高すぎる作品ばかりなので、それらの作品の中に入ってしまうと、この作品は少し落ちるかなぁという気がします。 しかし、そうは言うもののやはり素晴らしい作品であることには違いないわけで、ブルースやヒップホップに興味のある人はもちろん、そうでない人も十分に楽しめる作品です。 この作品の一番の見所は、「エレクトリック・マッド」というマディ・ウォーターズの発表したアルバムをめぐって、昔のブルースマン達と現代のヒップホップミュージシャン達が同じノリ、同じ熱意、同じ感覚で互いに言葉を交し合う場面でしょう。ブルースとヒップホップ、この二つの音楽の関係を考えると、この場面はまさしく父と息子の熱い対話と見ることができるでしょう。 ブルースファンの人はもちろん、ヒップホップに興味のある人が見ても、必ずや何か心に響くものがあると思われる作品です。
私は、これで会社を・・・とか言ったCMがずいぶん昔に流れていましたが、私はこのアルバムでBluesにどっぷりとはままり込むハメになりました。
なんと、今そのアルバムが2in1で購入できます。絶対に購入することをお勧めします。
このアルバムからシカゴ・ブルースを追いかけて、かれこれ35年が過ぎました。
10年後に繰り返し聴けるものは少ないのですが、このアルバムは何年たっても私の原点のように振り返ることができます。
・blues.the-butcher-590213のメンバーは、永井”ホトケ”隆(Vo・G)、沼澤尚(Ds)、KOTEZ(Vo・Harp)、中條卓(B)。結成は2007年で、本作がファーストアルバム。
・ 収録曲は“Spoonful”(ハウリン・ウルフとクリームで有名), “Sitting on Top of the World”(同), “Killing Floor”(ウルフとジミ・ヘンドリクスで有名)など全曲カバー。“Mystery Train”(ジュニア・パーカーのオリジナルで、エルヴィスで有名)、“Slipping and Sliding”(リトル・リチャードがオリジナルでジョン・レノンがカバーした)も含む。演奏は引き締まって的確。かなりライブ的な録音である。私は永井氏の日本語訛りの英語は渋くていいと思う。ヴォーカルは正に日本人のブルーズで、こういう音楽もあっていい。
・ 残念なのは、歌詞カードが付いていないこと。“Killing Floor”は歌詞が改作されている。
(付記)私はblues.the-butcher-590213のライブは観たことはないが、永井氏、Kotez氏のライブは観たことがある。どちらも情熱を感じる興味深いものだった。日本人がどのようにブルーズを解釈するのかに興味を持っている方は、彼らのライブも見てほしい。12月もツアー中である。
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