ガラガラ蛇を腕に巻きつけたジェーシー・ジェームズは、ついには彼をしとめることになる敵か味方か分からない暗殺者の前で、いきなりナイフを取り出して蛇の二つの首を平然と切断したりするのだが、ここで私たちはジェーシー・ジェームズという男の底知れぬ冷徹と孤独を思い知らされる。
人殺しの極悪人に詭計を巡らせて暗殺した兄弟が、その暗殺劇を舞台に掛けて金儲けしたりしているうちに世間はなぜか騙し討ちを卑怯と糾弾するようになり、兄は自殺、弟は暗殺されるという道行も、ジェーシー・ジェームズにおとらず不気味である。
されど全篇を通じて流れるニック・ケーブの不穏な音楽こそ、この端正な美意識で統一された西部劇映画の隠れた主役だろう。
死と狂気を内蔵したニック・ケーブのミニマル音楽は、そんな不気味な緊張を孕んだ静謐な画面を見詰める私たちを、ついにある緊張の頂点にまで連れて行き、その狭い密室で息苦しいまでの暗殺劇が爆発するのだった。
表題役のブラッド・ピットとその兄役のサム・シェパード、暗殺者のケイシー・アフレックが好演している。
この映画をみるまで、ジェシー・ジェームズについての唯一の知識は プレファブ・スプラウトというバンドが、 ジェシー・ジェームズを題材にした曲を うたっていたことぐらいで、まったく知らなかった。
ジェシー・ジェームズ=ギャング?盗賊?
ただ、この映画を見る限り、盗賊の親分ではなく ”狂気”の結果、親分たちもいなくなった ようには描かれいる。史実もこうなのか?
それはさておき、 ブラッドピットって”狂気”の役がぴったり。 かっこいいだけの男や、エリート役は似合わない。
淡い絵画のような風景が”狂気”をひときわ際立たせている。
彼はなぜ”狂気”に操られたのか?
なぜ、英雄視されているのか?
答えられる人、答えられない人
あなたはどっち?という映画。
いずれにしろ、独特の世界観のある印象に残る映画です。
映画を観て、もっと彼らのことを知りたくなり、購入しました。映画の場面そのものの描写のおかげか、長さの割に読みやすかったです。映画では省略された前半生が書かれていたのもよかったです。人物相関図をもっと詳しく載せるとか系図などの資料が充実するともっとよかったかも。
この映画に対して色んな意見があり賛否両論ですがこれは見る人の観点によりその人に取って名作または駄作になると思います。最初の30分あたりでこの映画の独特な雰囲気が理解ができれば名作になると思います。けっして派手さはありませんが人間心理が巧みに演じられ素晴らしい緊張感があります。ブラットピットの迫力ある演技がいつしかジェシージェームズそのものになったように感じられます、そしてロバート及び部下たちの心の葛藤どれも素晴らしいです。休日の深夜に独りでゆっくり見たい映画です。
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