ある神職さんから、現代語で日本書紀を読むならと紹介された本です。
文章もこなれていて読みやすく、解りやすい本です。
文庫本と言うこともあり、日本書紀全てではないのですが、重要なところは入っています。全部入っていれば言うことなしです。
私は古事記が大好きなので関連本は何冊も持っているのですが、本作はその中でもかなり良い出来映えだと断言できます。
漫画の古事記はいくつもありますが、本作はその中でも描写がとても上手くてすごく分かりやすい。コマ割りも工夫されていて、一作の漫画としても非常に読みやすいですね。
また、ぐちゃぐちゃと細かいことまでは描かれていないので、古事記の入門書としてはすごく良いと思います。
ただ、「何故左からなのか」「何故桃の木なのか」「何故櫛がよく登場するのか」等の面白い雑学については語られていません。もし本書で古事記が好きになった人は、他書も読んでみることをオススメします。雑学の脚注の多い漫画だと、石ノ森章太郎さんの古事記が良いかと思います。
本書は漫画の良さだけではなく、解説や付録(神様の系統図)も良い出来映えです。
特に付録。古事記本の多くに系統図は載っていますが、本書の系統図は「名前・どんな神か・絵」の三つが載っています。例えば「櫛名田比売・霊妙な稲田の神・作中に登場した櫛名田比売の絵」といった具合。
しかも、2〜3ページに全てをまとめるのではなく、ジャンルごとにページ分けされているので見やすいです。
初めて古事記に触れる人にはこの本を強くオススメすることができます。
一読しただけでは到底理解不能な物語。何故と考えると疑問はつきない。
そもそも神々の名前からしてわからない。正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(マサカツ
アカツカチハヤビアメノオシホミミノミコト)天邇岐志国邇岐志天津日高日子
番能邇邇藝命(アメニギクシクニニギシアマツヒダカヒコホノニニギノミコト)
たまたま朝日新聞で特集が連載されいたので古事記世界の理解を助けられた。
解説本が必要な書物であるのは確かだが、そのまま読むだけでこの神話世界を
楽しむのもよいかも知れない。
日本神話と言えば古事記であり日本書紀である。しかし、記紀の2書でさえ、内容には食い違いがあり、日本書紀に至っては話の筋の一本化すらされていない。神話について全くのシロートだった私が自分なりに勉強をし始めた時、最初に驚いた事だった。さらに地方の風土記にはまた違った話があり、もっと言えば地方地方に伝わる伝説や昔ばなしの中にも神話の断片が隠れている。そんな、日本の神話のあり様は、まさに八百万といったところか。風土記に触れるということは、実は日本神話の多様性の世界に脚を踏み入れることなのかもしれない。 さて、古事記と日本書紀はいろいろな形で出版されており、自分にあった一冊を選べばよい。しかし風土記となるとぐっと選択肢が狭まる。それも出雲国などであればまだ他にも選びようがあるだろうが、逸文として断片的にしか残っていない地方の風土記となると、手軽な掲載書籍はこれくらいしかないのではないか。 個人的には、521頁におよぶ本書の中で、日向国風土記逸文について書かれた2頁半のために購入したと言って過言ではない。現代語訳のみで、原文無し、解説もなしなのは少々さびしいが、それでも手軽に入手できる出版物として現にあることを幸いとしなくてはならないのかもしれない。
逸文を含めた全国の風土記毎に主だった事柄を抜き出し初心者向けに平易にまとめられています.各風土記毎といっても他の風土記の記述との関連性にも幅広く触れられていて,またシリーズのタイトルの通り図や地図が多く使われているので,今まで以上に理解が深まった気がします.それ程風土記通ではありませんが,今まで読んだ中では,コンパクトな大きさ・ボリューム・価格からみて,逸文を含めた全国の風土記の訳文を読むなら平凡社ライブラリー吉野裕訳の風土記,ビジュアル的に各国風土記を横断的に概要を把握するなら本書が,それぞれお勧めではないかと思いました.
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